12345678910111213141516171819202122232425262728293031
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2010-11-24 (Wed)
 

白昼の渋谷で起こった無差別爆弾テロ。その犯人は公安がメシア神道という宗教団体に潜り込ませた公安刑事である照屋礼子。
 過激な宗教団体であるメシア神道は強制捜査により瓦解し、首謀者である教祖は死刑判決を受けていた。それなのに照屋礼子はミイラ取りがミイラの如く次々と無差別テロを遂行する。
 彼女を追う人間の1人である刑事鳴尾良輔は担当した事件の女性と獄中結婚をしており、その為に警察組織では冷や飯を食わされていた。
 だが鳴尾は獄中にいる妻の知恵を借りながら運命の糸により照屋礼子を狩る人間として誰よりも彼女に近い位置に迫っていく。
 そして公安の不祥事発覚を恐れる阿南達により彼は妨害を受けるが。。。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  この「魔笛」を面白いという人はたくさんいると思う。だが好きだという人は恐らく1ダース位しかいないんじゃないかと思う。
 私はこの作品が凄く好きだけど、内容が読む人の心のおうとつに良い意味でも悪い意味でも刺激を与えてしまう。
 人や社会の「暗部」に触れる内容も多くその剥き出された部分ににシビレル人もいるだろう。
 だが面白さというのなら野沢作品の中でも抜群の出来であり、最高傑作の一つという言葉は過言ではないと思う。

 この作品は某鳥の名前の宗教団体をモデルにしていて、それ故に江戸川乱歩賞を逃されたようである。北方謙三さんのがおっしゃるには「実在の宗教団体をかなり強く意識させたために賞の持つ自己防衛装置が働いた」ようであるが、それは止む負えないだろう。「実在の宗教団体をかなり強く意識させる」だけなら過剰防衛だろうと思うが、当時のあの大騒動を肌で実感している世代にとっては非常に生々しい空気感を感じさせてしまう臨場感がある。
 それ位この作品からは物語の持つパワーというかエネルギーを浴びた。

 野沢さんは脚本家出身だけに状況描写が上手く詰め込みを紙一重でかわしているような勢いというかスピード感ある展開で、ちびちびやるつもりが一気に食べ尽くしてしまった。 
 実は多少無理な設定と展開、特に鳴尾刑事が照屋礼子へ迫る展開は都合が良過ぎる突っ込み所はあるのだけど、読んでいる時は全然気にならなかった。
 どんな設定、展開であっても作品世界で成立しているのならOKだという良いお手本である。それは突き詰めるとどれだけ物語りに説得力があるかという事なのだろうが。

 上記で『人や社会の「暗部」に触れる内容も多く』と記述したが非常に心にスイッチが入る言葉が多かった。
 元信者という設定で語らせた言葉に「結局の所1人1人の信者の妄想が破壊的な教祖を作り上げた」(抜粋・要略)とある。これはなるほどと思った。宗教の教祖だけではなく独裁者とかそういった類の人物が出現するのはその人のカリスマ性以上に、そうさせてしまう周囲の基本善意な人間の妄想なり願望が作り上げるのかもしれない。
 それは凄く怖い事である。ほんの些細な思いなり願望が集結してしまうと何かを生み出してしまう巨大なパワーになるというのは。
 
 それと実の娘を保険金目当てなぶり殺した夫を殺した、鳴尾刑事の獄中の妻である安住藤子。
 私は人を殺すことはないとは思う。でも彼女が殺人者となった自分の核心を知りたいう下りの記述を読んで、人は絶対飛び越える事はないと思っている一線を軽く飛び越えてしまうのかもしれないと感じた。
 今の私にはその壁自体は物凄く高いように感じ強固な壁だと思っているが、でもそんなもの何かのきっかけですぐ壊れてしまうか飛び越えたりしちゃうのだ。
 私は超える事はないという意識よりも、超えてしまう事もあるかもしれないというほんのり恐れ持つ方が一線を越えない自己防衛になるのかも。

 次々とスイッチが入りまくり自分が普段あまり覗かない自分の心の隙間を感じさせられた作品だった。 
 
指の運動にポチッとお願い致します。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
| 野沢尚 | COM(0) | TB(0) |















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。