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2010-11-17 (Wed)


 刑事の九野薫は七年前の交通事故で妻とお腹の子を亡くす。過去の傷から立ち直れないままの久野にとっての慰めは妻の母親である義母であった。現在彼は風紀問題のある同僚の刑事を尾行中。たがクビ間近かこの同僚刑事は九野に逆恨みをし彼は窮地に追い込まれる。。。

及川恭子は平凡な専業主婦。近所のスーパーでパートをしながら生計を支えていた。だがそんなありふれた日常がある放火事件から歪み始める。夫がどうやらある犯罪を犯している事を知りその苦悩から逃れるように市民運動に走るが。。。
 
 渡辺裕輔は高校生。ダチと共にオヤジ狩りに励む、将来の展望も何ももたない今時の高校生。たまたまおやじ狩りをした相手が刑事だった事から後に面倒な事に巻き込まれる。。。

 些細な放火事件をきっかけに彼らの歯車が狂いだしやがて暴走していくクライムノベル。


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 この作品は助走が若干長いのである。上下2段で最初は読んでいて中々話が進まないので「ハズレたかなあ~」と思った。でもせっかく途中まで読んでいるので「意味の無い勿体無い精神」で読み続けた。
 読み終えて途中下車しないで良かったと思った。「じゃあ面白かったのか?」と問われたらこの作品は「面白さという要素でくくるのはちょっと違う」と答えると思う。予想外の展開に良い意味で裏切られたカタルシスが旨味だと思う。
 奥田さんは「登場人物の登場の仕方だけを設定して、あとは登場人物が動くのに任せる作り方をしている」らしいが、さもあらんと思った。
 どんな創作も必ず創作の神様に委ねている部分はあると思うが、この作品は作者の意図という手綱を手放しているような感じでキャラが自由放奔だった。

 たくさん本を読んでいると好むと好まないと関わらずある程度ストーリーの先が読める場合もある。「こうきたら、こうくるかな」という感じで。
 でもこの作品は途中から全く先が読めなかった。「ええ!!!そうなるか?こうくるか?」の連続であった。
 ただラストにカタルシスがあるわけではない。
 終盤近くでも風呂敷が思いっきり広げられたままで畳まれる気配をまるで感じなかったが不思議と「畳んでくれるのか?」という焦燥感はなかった。
  それは読んでいて「どうなるんだ!!!」という思いはあまりなく「どうとでもなっちゃって下さい」という心境のせいか。
 「オチは好きにしてくれ」と私にはめずらしく作者のなすがままにまかせたいと思った。
 ラストは不完全燃焼ですっきりしない。その「すっきりしなさ」もこの作品の欠かさざるパーツの一つだと納得している。

「幸せに背を向けている」「幸せに背を向けられた」人達が出てくる作品である。特に平凡な主婦だった及川恭子の暴走振りが凄いし面白い。ため息が出るくらいだ。
 読んでいて「みんなもっと幸せになろうよ」と思った。ちょっとしたズレで「不幸のドツボにはまってどっびんしゃ」になっていく登場人物達が哀れというか気の毒というか。どうして皆ハッピーになれないんだろうなろうとしないんだと歯がゆい。
 幸せになりたいと思っていても一線からズレてしまうとその修正が自分でも容易でなくなるんだなと思う。
 文中に「人は幸せになりたくて生きている」とあるが本当にその通りだと思う。だがその為には幸せから逃げない強さも必要なのかもしれない。
 
  
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| 奥田英朗 | COM(2) | TB(0) |















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