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2010-11-10 (Wed)
   

 発端となった事件は森本隆一という男性のひき逃げ事件であった。彼には多額の保険金が掛けられており、妻である法子に殺人の疑惑がかけられる。だが彼女にき完璧なアリバイがあった。
 警察は法子が愛人である塚田和彦と交換殺人の疑いがあると睨む。何故なら彼の妻もまた多額の保険金が掛けられており何者かによって殺されていたからである。
 疑惑が絡み合った一連の事件をその事件と関わりのある人々の「お財布」を語り手(主人公)となった連作長編。


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 のっけから恐縮ですが「宮部さん、さすがや!!!」
 座布団10枚どころか、倉庫にあるものも持ってけという感じである。

 この作品の語り手(主人公)はナント「お財布」なのである。読み始めた時は私は勘違いして何か読み間違えたのかと思うた。
 だって語り手(主人公)が財布なのである。 
 私が今まで読んできた作品の中でめずらしい語り手(主人公)と言えば「モノレール猫」(記事 奥義!!!二刀流)でのザリガニがあるが、この作品は短編だからこそ飛び道具的な感じで趣向を凝らせたと思う。
 でも連作とはいえ長編という大掛かりな設定で財布を語り手(主人公)にしたミステリーという試み、しかも財布が見たり聞いたりした事しか書かないという制約を設けている中、全く不自然さも無理感もなく惹き込ませる創り手としての手腕は文化勲章級の職人芸だと思う。
  
 でもこう書くと矛盾しているかもしれないが、実はミステリーとしては普通なのである。例えば東野圭吾さんみたいに凄いトリックを用意しているとか、以前紹介した「我らが隣人の殺人」(記事 ごちそうさまでした)に収録されている「サボテンの花」のようにカタルシスのあるオチではない。
 正直オチ的にはひねりが足りないというか肩すかしなのである(あれっ、結構文句書いてる)。それでも読み始めてから面白くて一気に読んでしまい、オチの「あれれれ」感を十分補ってくれる。
 
 とにかくストーリー展開の「見せ方(魅せ方)が上手いのである。
 事件に関わりのある人物達のサイフが語り手(主人公)の連作で少しずつ事件の「真実」が浮き彫りになる。その真実のあぶりだしまでの過程が多彩で飽きさせない。
 また財布達の個性(と言ってもいいのか)の書き方が本当にお見事。財布はみんな「いい奴」で持ち主が悪い奴でも、困ったちゃんでも、自分の持ち主に愛情を持ついじらしさがあって、そういう視点で事件を物語るというのはなんとも奇抜な面白さがある。
 サイフが語り手(主人公)という斬新な視点がストーリーの粗をカバーしている感じかな。
 
 解説の方が「これだけの技を駆使しながら、これみよがしな押し付けがましいところがなく、また作者の苦心を微塵も感じさせない」 (要約・抜粋)と書いていたが、疎い私はこの解説の言葉を読むまで彼女の心意気に全く気づかなかった。
 宮部さんとはいえ創作である以上「生みの苦しみ」はあるのだろうけど、あまりにもそういう痕跡を感じさせないので失念していた。

 そういう苦心を感じさせないのが宮部さんのサービス精神の賜物なのだと遅まきながら気づいた今日この頃。


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| 宮部みゆき  | COM(6) | TB(0) |















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