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2010-09-29 (Wed)
 

 五つの連作短編集を装った長編小説

「チルドレンⅡ」 
「家裁の人」である武藤はかつて少年事件担当であったが、一ヶ月前の人事異動で家事事件担当へと移っていた。
 時おり少年事件担当の時の先輩である陣内に誘われて居酒屋に飲みに行っていた。この陣内という男は風変わりで奇妙な人間であったが何故か不思議と少年達に慕われている調査官だった。
 連れて行かれた居酒屋でバイトをしている陣内担当の丸川明という少年と出会う。彼は喧嘩で高校を退学となり、別のバイト先で客と喧嘩になった挙句に警察を呼ばれ現在は試験観察中。
 石川少年の非行の原因は妻に浮気をされ役所で市民に罵倒される、彼曰く「駄目親父」であった。

 武藤はある夫婦の離婚調停を担当する事になる。夫の大和修次は×2で何れも浮気が原因で離婚し浮気相手と再婚していた。妻の三千代と三歳になる一人娘の親権を争っていたが、武藤の目から見て夫婦どちらも娘への愛情が薄いような気がした。
 どちらへ親権を渡すのが良いのか悩んでいた武藤に陣内が自分のパンクバンドのライブへ大和夫婦を連れて来いと言われる。自分の演奏は人を癒す力があるとのたまう陣内に呆れるが、石川少年に大和氏をライブに連れてきてくれたら自分もライブに行くと言われ、陣内にせっつかれて仕方なく大和氏をライブに誘うが。。。

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 私は図書館派なので「本の帯」というのは本来目にするものではない。ただ私の家の近くにある図書館は借りる人への親切心なのか、通常捨てられる本の帯への義侠心からなのか、単行本のおもて表紙の裏側に帯を貼っている。
 この「チルドレン」の帯には、「ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語」とある。
 国語の試験によく出題されるような『「チルドレン」の内容を50文字以内にまとめよ』という問いに満点に近い答えを書いたような要約だと思う。
 限りなく簡潔で尚且つビンゴなまとめである。

 どの短編も基本ばかばかしい話ではある。そのばかばかしさの源となっているのが陣内という男である。彼は本当に「変わった人間」である。
 喧嘩の仲裁も殴る相手を注意するのではなく、殴られている相手を殴って「俺が優勝!!!」と喜劇に転じさせて解決させる。
 銃を持った銀行強盗相手に「ギターを弾かせろ」と申し立てたりetc・・・。
 でもただ単に破天荒ではちゃめちゃではなくブレない芯を持っていて「本当の優しさ」を知っている(それが優しさだと認識しづらいが。。。)
 「それだ。俺たちの仕事はそれだよ。俺たちは奇跡を起こすんだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡は起こせるのか?」
「『絶対』と言い切れることがひとつもないなんて、生きてる意味がないだろ」
 
粋なセリフで締める所は締める。
 他人が真似出来ないやり方なのに何故か正攻法よりもまるく収まるし、まぜくるのに結果オーライになる。
 ご都合主義的な展開もそれは陣内が世の中にある色んな枠を飛び越えているから出来るのだろうと思わせるのが上手い。陣内みたいになりたいと思わせるけど、彼のように飛び越える事が出来ないだろうなあと理解しているからこそ余計に惚れてしまうキャラクターである。
 
 でもばかばかしいだけでなく恰好よい物語なのである、 何故かわかんないけど「ばかばかしいのに恰好良い」のである。「なんだかわからないけどカッコいい」というのは反則技のような気がする。どんな反論も無効にしてしまうカードだ。そう思わせるのは伊坂マジックと言うべきか。
 伊坂さんの作品はどれも「ばかばかしいのに恰好良さ」を感じさせるフィールド部分を持っている気がする。それは彼の心意気なのだろうか。
 
 帯にはもう一個「こういう奇跡もあるんじゃないか?」と書かれているが、いわゆる一般的な意味の信じがたい出来事の奇跡は起きない。
 ささやかな波紋のような日常という枠にすっぽり収まるサイズの奇跡。でもそれで誰かが救われるのならこういうのも奇跡と呼んでイインデナイノと思わせる。

 読み終えた時自分の心のどこかが温まるのを感じる。心のほこりが取り除かれその純度が上がる感じである(またほこりは溜まるのだろうけど)。
 それはこの作品が優しい小説だからだろう。優しさを演出しているわけではないのに、愛すべきキャラクターの粋な言動優しさを醸し出している。

 一応連作短編集の装いだが作者さんが書いているように長編小説なのである。読み終えて時ラストの言葉が響く。
 

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| 伊坂幸太郎 | COM(0) | TB(0) |















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