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2010-09-22 (Wed)
 

 自分にとっての大切な何かの為に一生懸命に生きる6人の物語

 「ジェネレーションX」
 野田は後数年で40代を迎えようしていた。かつて「新人類」と呼ばれた世代であったが、その自分が若者にジェネレーンションギャップを感じるようになりつつあった。
 野田はクレーム処理の為に石津という青年とお客様にお詫びをしに行く事になった。車で向う途中仕事中なのに助手席でひっきりなし私用電話をする石津にあきれつつも得意先の社員なので我慢をする。
 聞くとも無しに聞こえてくる会話の内容から石津が友人を集めているようなので同窓会でもやるのかと思っていたが、そうではなく。。。。


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 最近本を読んでいて「こういう本は若い頃に読んだら全然味気なかったろうなあ」と思う事が割りとある。この「風に舞い上がるビニールシート」もそういう感想を持った本の一つである。
 やはり若い時はわかり易い輝きに目を奪われてしまい平凡な価値に気付きにくい。
 この短編集は「大切な何かのために懸命に生きている人達」の日常を等身大に書かれた作品集だか、若い時ならその「日常性」に退屈しただろうなあと思う。
 ようやく年を重ねて日常性の偉大さに気づいてその退屈さ満喫出来るようになった。本当の幸福というのは「=退屈なもの」なのだ。
 色んなご馳走を食べまくってやっぱり卵かけご飯が一番上手いんだなあという心境である。
  
 森さんがこの短編集の中で一番思いを込めているのは表題作の「風に舞いあがるビニールシート」だと思う。でも私という人間にはこの短編はキレイゴトな感じがして馴染めなかった。それは内容がと言うより書き方かな。もう少し情緒的な部分削ぎ落とされた方が個人的には余韻があった気がする。勿論作品自体は素晴らしいので好みの問題かな。
 特にタイトルになっている「風に舞いあがるビニールシート」の意味を知った時は上手い言葉の紡ぎ方だと唸った。

 私が作品的に一番好きなのは「ジェネレーションX」である。
 ちょうど主人公の野田と同じ世代だから共感し易い立場にあるし、終始軽くてノリのある物語だけどちゃんとアクセルとブレーキを上手く切り替ているストーリー展開が実に面白い。
 若い頃のバカさ加減も年を重ねるに連れて心の内に仕舞い込んで行く。まあ、それが大人になるという事だろうけど。
 青年石津のまだ現役のバカさ加減に笑いつつも、でもそんな彼が大人になって行く姿に寂しさと微笑ましさ感じた。
 そして自分ではまっとうな大人になったつもりの野田が仕舞いこんだ青臭さを一時解放する姿に萌えた。そんな彼等のやり取りが「眩しいねえ」と思った。そう思う自分が年を重る事によって確実にその輝きを失いつつあるのだという事も自覚した。
 
 個人的に一番心に残ったエピソードは「犬の散歩」に出てくる牛丼の話である。
 牛丼を毎日毎日食べる位に牛丼大好きな人がいて、世界のすべてを牛丼に置き換える人の話が興味深かった。
 例えば映画料金が1600円なら牛丼を四杯食べられるからよほど面白い映画でないと牛丼四杯分の価値は無く、3000円のTシャツを買うお金があったら牛丼が7杯食べられるから、その7杯分の牛丼を犠牲にする価値がそのTシャツにあるかと真剣に悩むという話は面白さの中にある種の真理が据えられているような気がした。
 牛丼を通して世界を捉えるなんで一見バカバカしいけど、自分の世界にぶれない軸を持てるのは生きる拠り所を持てるのだなと思う。
 自分にとっての牛丼何かふとと考えてしまった。
 
 森絵都さんは初めての作家さんである。淡々とした中に響くものをお持ちの作家さんだと思った。
 卵かけご飯を堪能させてもらった短編集であった。

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