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2010-09-08 (Wed)
 

 智明は不倫相手が自殺するという人生最悪の時に、同じように夫と子供を失った為に人生最悪の時の馨と出会う。それは偶然というより奇跡に近い出会いであった。
 共に大事な者を失った者同士が喪失感に苦しめられながらも、互いの存在に慰められながら共に生きる時間が動き始めて行く物語。


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 よしもとばななさんの作品の中で私にとって2TOPは「キッチン」(心のキューピーコーワ)と続編の「満月」である(取調べ室ではないがカツ丼)。
 個人的にはこの二つの作品はよしもとばななという才能の一番絞りな作品だと思っている。彼女の才能の最も煌きのある部分をうまく引き出せた味わい深い旨みがある。

 でも何気に「サンクチュアリ」は気に入っている。上記二つが「一番絞り製法」作品なら、この作品はめずらしく男性主人公の三人称視点の書き方で「特殊製法的」な作品である。
 ばななさんの作品は正直「人が書けている」作品では無いと思う。人のあるポイントをフォーカスし拡大して書かれた感じがする。だからキャラクターは魅力的だけど「まずこういう人間は現実にはいそうにいないだろうなあ」人達なのである。
 でもこの作品の登場人物は現実にいてもおかしくはないなというリアルさがあって、他のばななワールドとは一線を画している(当社比)。
 ばななさんの才能の箸休め的な作品のような感じがしてお気に入りである。

 智明も馨も大切な人を失いその喪失感に心は日常から逸脱した世界を彷徨っている。その2人が必死に絶望から日常に戻る姿はツクリゴトの世界であっても愛おしく感じる。
 何があっても生きる方向へと向う指針を持つような馨の強さは素晴らしい。生きていく能力も持って生まれた才能と呼べるものかなとも思う。
 智明が馨と出会ったのは彼女が秘技「ひとり泣き」をしている時であった。馨はただひたむきに泣く、誰かに何とかして欲しいというのではないまっさらな泣き方をして自分をあやす。
 私は基本的に泣かない。心の病の最悪な時期につらくて散々泣いて「泣くのは嬉し涙と感動の涙のみ!!!」と決めて以来「泣かない女」なのだ。
 でもそろそろ自分に泣く事をゆるしてもいいのかなとこの作品を読んで思った。自己憐憫の涙ではなく、馨のように自己の糧となる涙ならありかなと思う。
 
 もう1人のヒロインである智明の不倫相手である友子という存在が凄く光っている。
 馨は全世界を失っても生きる事をあきらめない自分をやり抜く強さを持った女性である。
 でも友子は自分の世界に入った亀裂に耐えられずに全世界を放り出してしまう。
 智明が出会った高校時代の彼女は何でも思い通りになる位輝いた特別な存在であった。だが夫の浮気をきっかけに思い通りに行かない現実に打ちのめされる。
 例え絆創膏(ばんそうこう)だらけになってもある程度は傷を負う事は必要なのかもしれない。そうすれば傷を上手く処置する方法をちゃんと身に着けていくはずだから。
 友子が傷の痛みに負けて自分を損なっていく姿は可哀想で切なかった。 

 2人の対照的なヒロインを智明を軸として照らし合わせるのは上手いと思う。
 
 「幸せなもの」をいとおしむ余裕を取り戻していく智明と馨に、何があっても自分を捨てなければ生きていけるものだと思わせてくれた。 
 

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