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2010-07-28 (Wed)


 日本スキージャンプ界のホープである楡井が毒殺された。
 捜査中の警察に楡井のコーチである峰岸が犯人であるという密告状が届く。また峰岸の所にも自首を勧める手紙が届く。完璧なはずの殺人計画の露見に動揺しつつもその手紙の主を探ろうとするが、判明する前に警察に逮捕される。
一体何故峰岸は楡井を殺したのか?
 警察はなかなか自供しない峰岸を落とす為に懸命に捜査を続けるが、やがて楡井が関わったある驚くべく計画を知る。
 その計画こそが峰岸が自分の人生を駆けて夢を託した楡井を殺した動機であった。
 
 
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 この作品は東野圭吾さんのかなり初期作品である。それが故にまだまだ東野クオリティーというのは感じられない。準備体操期間の作品とでもいうか(個人的に東野さんが才能を本当の意味で開花させて行くのは「秘密」以降だと思っている)。
 でも後の大活躍を予兆させられるような質の高い作品である。
 他人様から頂いた本だが正直タイトルに今イチ感がプンプンあるのと、スキージャンプという全然興味のない分野が舞台だったので食指が動かないまま本棚の肥やしにしていた。
 機会があってそこから引っ張り出して読んでみると、あまりの面白さに一気に読んだ。

 基本はミステリーだけど、スキージャンプ界を舞台にしたスポーツドラマでもある。
 まずミステリーとしてはあらすじにも書いている通り犯人はかなり最初の段階で判明するが、動機はなかなか明かされない。
 中盤辺りまで犯人である峰岸の内面描写にページが割かれていて、勝負の世界においては才能を持つ者と持たざる者との間は決して行き来出来ない高い高い壁があるんだなあと思った。
 だから余計に持たざる者である峰岸の殺人動機が気になって読み進めていた。この辺りの引き込みの上手さはさすがである。
 また犯人である峰岸が密告者の存在を推理するという展開や、彼が楡井に毒薬を飲ませる方法とラストのドンデン返し等、ミステリーとしての韻もきっちり踏まれていて手綱をゆるめていない。
 「さすがに私が見込んだ東野さんだ」   
自画自賛した。

 この作品が凄いのはミステリーとしても楽しめて尚且つスポーツドラマとしてもしっかりと成立している所だろう。
 どちらかが損なわれる事もなくちゃんと一つの作品の中に融合している。私は完全な運動音痴なのでスポーツ界というのは本当に興味がないがそんな私でも十分楽しめた。
 改めて感じたのはやはりスポーツの世界は詰まるところはやはり勝負の世界であり勝つ事が要求される。だからその為の人間性を無視した科学至上主義による「鳥人計画」を心情的には否定したくなる。
 だが文中にある、
 「科学を駆使した勝利よりも、人間らしさを追求した敗北の方が価値があるとおっしゃるのですか」 
という言葉に対しては何も言えなくなる。
 「勝つ事は大事」たが「勝つ事がすべて」を至上にしたらスポーツというのはとても無乾燥な世界になるだろう。この辺りの線引きをスポーツ界というのは永遠の課題として抱えていくしかないのかなと思う。

 東野さんは作品世界や物事に対する考え方にある種の折り目正しさがあると思う。それが故に作品世界に説得力があるというか。
 どんなに奇想天外な設定であってもそういう部分は無くされないのだろう。この作品を読んで改めてそう感じた。


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| 東野圭吾 | COM(4) | TB(0) |















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