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2010-03-27 (Sat)
 

 大文豪谷崎潤一郎と貞淑な妻千代。そして詩人佐藤春夫。この三角関係は俗に「小田原事件」と呼ばれている。
 良妻賢母の千代に魅力を感じない谷崎は事あるごとに千代を虐げていた。それでも文句一つ言わず健気に夫に尽くす千代に次第に佐藤は惹かれて行く。また千代も味気ない結婚生活の中で佐藤の情熱に心動かされる。
 一度は谷崎が千代を離縁し佐藤と結婚させる話し合いも済んでいたが突然の谷崎の心変わりでご破算になる。
 五年間程互いに絶縁しこの事件をそれぞれ作品にしたする等の応酬を繰り広げる。
 そしてすったもんだの挙句、佐藤と千代は十数年後にようやく結婚する。これがいわゆる「妻譲渡事件」となる。

 1人の女性を巡る男達の恋の葛藤を女流作家瀬戸内寂聴が力強く切り込み、その事実関係を生々しく浮かび上がらせてる。

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 私は裏側がみたい「智恵子飛ぶ」でも書いたように伝説の裏側を見るのが好きなヒネ者である。
 お三方の恋愛模様は高村氏と智恵子さん程の伝説化のラブストーリーではないが、人妻を巡る名のある芸術家2人によるバトルという伝説は日本の「伝説化ラブストーリー」界の大関クラスと言っても過言ではないだろう。
 ただこの裏側には驚いた。
 佐藤氏と千代さんが正式に結婚する一年前に、彼女はどうやら全く別の男性と結婚予定だったようである。これはさすがに凄くびっくりした。
 「へえ!!!!!」
 トリビアの泉流で驚きを表すとへぇボタンを最高の20まで押しそうである。

 伝説というのはたいてい耳障りの良いソフトな仕上がりになっていて裏側を見るとシビアな現実に突き当たるものだが、よもやこんな隠し玉があるとは想像出来なかった。
 「小田原事件」「妻譲渡事件」と続々と事件ファイルが出来る位谷崎氏と千代さんと佐藤氏の恋愛や結婚は有名であるがこの事実は何故か世間一般に全く知られていない。谷崎氏の伝記や書物でもこの事実は全然触れられていないらしい。谷崎氏の残した手紙と彼の末弟である谷崎終平氏の本に書き記されているのみである。何故取り上げられないのか不思議だ。
 結局色々あって千代さんと全く別の男性ー和田六郎氏の結婚話はご破算になる。
 で、この本には和田六郎氏の息子である和田周氏が登場し父親と千代さんの関係や、別の配偶者と一緒になってからも家族で佐藤宅に訪れて色々歓待を受けていた話等が出てきて中々興味深い。和田周氏は語り口は非常に魅力的で読んでいて惹き込まれた。

 著者の瀬戸内さんの真実、事実というものに肉薄していて、鋭く切り込んでいく文章に感銘を受ける。彼女の洞察力の鋭さは聡明さと人生経験の豊富さからくるものだと思う。
 その鋭い視点の小気味良さとクールな優しさを感じさせる描写が、人物像を生き生きと浮かび上がらせて出てくる人達の存在感が読み手にダイレクトに響く。

 読んでいて谷崎氏や佐藤氏等の芸術家というのはつくづく因果な生き物だなと思った。2人とも三角関係に悲喜こもごもしただろうが、ちゃっかり作品として仕上げしっかりと評価を貰っている。生活や感情も作品化してしまう性が凄い。客観視出来ないと作品化できないと思うので渦中にあっても冷静な視点があるのだろう。
 またその周りに集う人々もどこか浮世離れしている感じがする。言い方を変えれば芸術家に感化されるのか朱に混じって赤くなるのか、考え方とか価値観が並ではない部分がある。時空が違う世界で彼らは生きているのではないかと思う。
 そういう様々な人間模様が堪能出来た。

 やはり伝説の裏側の覗き見は面白くて止められない。
 
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