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2010-03-20 (Sat)


 天才外科医の日本人医師テンマ。
 彼は西ドイツの大きな病院でチーフを務め、院長の美しい一人娘と婚約をし順風満帆な人生を歩んでいた。
 たがある時「命は平等ではない」という考えの下、儲け主義の院長のやり方をまざまざと見せられてその医療のあり方に反発を持つ。
 名誉を得られる市長の手術ではなく瀕死の無名の少年の手術を選び取り、婚約は破棄され地位も格下げされる。それでも「命の重さに変わりはない」という信念を選んだ事の誇りが彼にはあった。
 しかしテンマが救った少年ヨハンは恐るべき美しい悪魔であった。怪物ヨハンに巻き込まれ、様々な人間が苦悩の果てに死んでいく。。。
 医師としてヨハンを助けたばかりに生み出される悲劇の現実に打ちのめされるテンマ。
 無実の罪を着せられ逃亡しながら、自らの手で決着をつける為にヨハンを追い続ける。。。。


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 私と漫画の趣味が似ている弟から横取りして読んだのが「MONSTER」である。間違いなく浦沢さんが語られる存在になった時に代表作のひとつと言われる作品となるはずである。
 この作品を真夜中に読んでいたのだがあまりの面白さに、
 「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」(吉田栄作風)
 と叫んでしまった。迷惑だったと思う。

 とにかく縦横無尽という言葉が織り成す醍醐味が堪らない。
 主軸はミステリーでその謎が小出しに明らかにされる面白さは勿論だが、テンマがそのヨハンを追う過程で出会う人々の持つ「物語」の面白さが最大の魅力だと思う。 
 どの登場人物にも「物語」が細部まで用意されており、その各々の物語を内包し「MONSTER」という一つの壮大な物語を織り成しているが故に「かっぱえびせん状態的な面白さ」という観点なら浦沢さんの作品の中でも随一だと思う。
 とにかく早く結末が知りたくて連載中は早くラストが読みたいともがき苦しみつつ、でもやっぱり終わった時切なかった。勝手なもんである。読み終えた時は抜け殻が落ちていた。

 テンマは心優しき人間である。
 命を救うべき医者でありながらもヨハンを殺す事は彼自身のアイディンティティの揺らぎにも繋がるが、それでもその優しさが故に彼は全てを捨てて怪物ヨハンと闘うという苦渋の選択をする。
 その心の揺らぎというのだろうか興味深い。だがテンマがヨハンを殺すという事はある意味彼もまた悪意に取り込まれる事だと思う。
 ニーチェさんが「怪物と闘う者はその過程で自らも怪物にならないように気をつけないとならない」と言っているように。
 テンマも取り込まれるのか?最終的に彼がどんな選択をするのかドキドキしながら見守り続けた。
 最終選択は「彼らしい」ものであった、テンマであり続けてくれるのが嬉しかった。
 
 この作品で「なぜなら、誰も死にたがってなんかいないから」という言葉が一番印象に残る。 
 その通りだ、本当の意味で死にたい人間なんていないと思う。本当はみんな生きていたいと願っているはずだ。
 では何故生きるのが難しいのか?
 幸せになる事は簡単だけどその事に気づくのが難しいのか?
 幸福は状態ではなく選択するものだけどそれを上手く選べないからなのか?
 しみじみと考えさせられた言葉だった。

 善の象徴であるテンマと悪の象徴であるヨハンの戦いの物語は人間の優しさ愛おしさ、そして脆さと弱さを露呈する。
 でも善も悪も表裏一体で有り、オセロように条件次第では如何様にもひっくり返えさせるような気がした。
 結局本当の「MONSTER」は誰だったのかと今でも考え続けている。

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