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2010-03-03 (Wed)
   

 酒鬼薔薇事件が起こった28年前に、15歳の少年Aが高校の同級生加賀美洋君をナイフでメッタ刺しにして殺害するという事件が起きていた。70年安保闘争で大学のバリケードがあちこち封印されていた時代であった。仲の良い友人同士と見られていたが加害者の少年Aは洋君からいじめを受けていたと動機を語る。だが当時の同級生等の証言からはいじめというよりふざけのようなものはあったかもしれないが、それは殺意を抱かせるものではないという声が多い。
 現在多発する動機不明の少年犯罪の発芽のような事件であった。

 事件に興味を持った著者が残された洋君の家族、父親の毅さん、母親のくに子さん、妹のみゆきさんに事件から30数年後の固く閉ざされていた心の思いを聞き取っていく。
 

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 私がまだ少女時代と読んでもバチが当たらない10代の頃(もう少しいって20代前半)少年犯罪というのはあまり聞いた事はなかった気がする。
 また犯罪というものはだいたいにおいて理解出来る動機があった。それはお金の為であったり、恨みであったり、愛情のもつれであったりと。
 だが『酒鬼薔薇事件』というのは少年犯罪でしかも動機が意味不明という衝撃的過ぎる事件で、多分この事件がその後の少年犯罪のエポックメイキング的なものになった思う。
 その事件より更に前の学園闘争でワーワーやっているようなまだまだ熱き時代に、その後の動機意味不明少年事件の発芽ともいうべき事件があったのは驚きであった。

 こういった事件の被害者は突然それまで生きていた慈しんできた世界から放り出されるのである。そしてそれまでとは全然違う苦悩に満ちた世界で否応無しに生きざる終えなくなる。
 そしてそれは永遠に終わる事のない悪夢の物語なのである。
 如何に被害者家族が地獄のような思いの中で歯を食いしばるように日常の時間をやり過ごしているかがわかる。よく言われる「時間が解決する」という言葉は深すぎる傷に対しては効力はない。
 被害者家族の生の声がダイレクトに伝わってきた。
 
 一番印象深かったのが「憎めない程の深い憎悪」というのがあるという事である。あまりにも深い憎しみの為その業火によって自分自身を滅ぼさない為に憎しみを抱かないようにしている。それ程深過ぎる傷だという事だ。
 それは本当に本当に悲しいと思う。  

 これは本当に何という人生の皮肉の在りようかと思うが、著者が加害者の少年Aの行方を捜した所なんと彼は弁護士となって町の名士となっていたのである。国家によって守られて教育を受け、しかも彼の犯した事件は少年法によって前科にはならないのである。
 彼は一度も謝罪に来る事はなく少年Aの親御さんが払うべき慰謝料は未払いで、勿論弁護士となったAは代わりに払うわけではなく反省している様子もないし優雅に暮らしているらしい。
 一方被害者の母親であるいく子さんはご主人亡き後年金でほそぼそと生活をしている。
 人生というものがあまりにも皮肉な構図で浮き彫りにされていて現実というのは時に本当に残酷である。

 少年法が「更正」に主眼を置いて作られたものとしたら加害者Aは立派に更正したという事になるのだろう。
 だがしかし、被害者抜きの更正なんて本当の更正なのだろうか。被害者の加賀美一家は30数年過ぎても癒される事の無い傷を抱えたまま苦しんでいる。彼らを置いてきぼりにしたままでいいはずがない。
 勿論被害者が完全に癒される事は無いにしろ彼らにもちゃんと光を当てて欲しい。行政は加害者だけではなく被害者にも同等に手を差し伸べるべきだと思う。

 少年犯罪の少年達の多くは心に闇を飼っている。
 心に希望を灯す事が出来たら、それを抱かせる社会の器が必要だなと思う。
 

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