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2010-02-06 (Sat)
   

  芙美子の継母である照代が急死する。いつも控えめで芙美子や弟の良い継母であった。
 いつかその恩に報いようとは思っていたが、多忙を理由に中々親孝行らしきものが出来なかったのが悔いとなった。
 人妻でありながら年若い愛人との関係を続けた美しい実母のさよ子。
 さよ子の事故死後、年若い愛人は後追い自殺をし2人の恋物語はピリオドが打たれる。父親は看護婦であった照代を後添えとしたのであった。
 照代の遺品を片付けている時に芙美子は古い新聞の切り抜きを見つける。
 その記事には事故で亡くなったとばかり思っていた母のさよ子の死因が載っており、それまでの記憶が思い違いであった事を知る。
 そして新聞記事をきっかけとして自らが封印した恐ろしい記憶をよみがえさせる。

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 小池真理子さんは作家でご主人の藤田宣永さんと「夫婦公論」(溺れる)でペンによる長調八兆のおもしろ夫婦バトルを繰り広げられているが、舞台を変えられてもペンさばきはさすがである。

 個人的に小池さんは長編も短編もどちらもとても上手い作家さんだと思う。
 ただ長編に関しては耽美的な物が多いので好みによって合う合わないがあるけど、短編はキレがありひねりの効いたオチが素晴らしい作品が多い。
 一時期「小池中毒」なる病に罹り短編を中心にかなり作品を読み漁った。
 中毒というの一度罹ると自らの力では抗い難いものがり、罹ったなと思った時には既に遅く、沼地のように足を取られどっぷりとその世界にはまってしまう。ブルトーザーのごどく小池作品を網羅していった。 
 今はやっと中毒から抜け出している。
 中毒というのは楽しい反面しんどい事もあるので今は穏やかな日和である。
 
 その元小池中毒患者である私が今回ビックアップした短編は作品の出来としては「スペシャル」という程ではない。どちらかというと地味目の作品である。
 他に傑作短編が幾つも有るし、同作品に収められている他作品の方が完成度も面白さも上の作品もある。
 それでも私が小池さんの数多くの短編の中でもこの「封印の家」が特に気に入っているのは、ラストの着地点の光景が好きだからである。
 読み終えた時、
 「ジーン」
 と言葉のままに感動しちょっと(恥ずかしながら)泣けた。

 主人公の芙美子は実母さよ子よりも継母の照代の方が好きだったし絆も感じていた。
 だがやはり母親ではなくあくまでも「照代さん」であった。物心がついてからの再婚でもあり、照代はとても慎ましいので自分という存在を強くアピールする事もなかったせいもあり一定の距離感が常にあった。

 芙美子がラストで照代が自分に注いでくれた愛情の深さを知る事になる。芙美子自身も忘却していた「罪」を唯1人知っていた照代はその秘密を誰にも漏らすことなく自分を見守り育ててくれたのだと。
 その下りが悲しくも切ない。
 何故なら自分にとって真の母親が誰であったか知った時に感謝すべき相手はもういないのだから。

 地味な話ながら要所、要所にさりげない磨きをかけ、ラストで光らせる小池さんの職人技である。

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| 小池真理子 | COM(8) | TB(0) |















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