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2010-02-03 (Wed)
 

  取調室の一室である舞台が用意されていた。

 ネット上の擬似家族の「お父さん」である所田良介が何者かに殺されてしまう。その数日前に絞殺体として発見された今井直子。一見無関係と思われた事件であったが共通の遺留品が発見される。
 容疑者と思われるネット上の家族であったHN「お母さん」こと三田佳恵、「ミノル」こと北条稔、「カズミ」である加原律子がそれぞれ取調室に呼ばれる。
 そしてマジックミラーの向こうには所田良介の1人娘一美がいた。犯人かもしれない人間を彼女は見ており確認の為に呼ばれたのである。

 三人の取調べが順番に始まり舞台は開演する。


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 宮部みゆきさんの紡ぐ物語は良い意味で裏切ってくれる事が多いので面白い。
 この作品を読み終えた時も、
 「こりゃ、一本取られました」
 と思った。

 ネット上の擬似家族というのが一つのモチーフとなっている。ようするに現実で自分の望む家族を持てない不満をネット上で理想の家族ごっこを演じる事で補うのである。
 「わあ~不健全だ、こりゃ」 
 と思った。キナ臭いがプンプンする。

 勿論ネット上の人間関係が偽物だとは思わない。例えばメンタルを抱えた人達にとってネット上での人間関係は福音だと思う。また互いに顔の見えない距離感が自分の素の部分をさらけ出し易いので深い人間関係を作れる場合もある。「距離感」が気持ちの潤滑油となるのならそれはめでたい事である。
 だがその「距離感」を逃げ場所としたらそれはどうなんだろうか。
 理想の家族ごっこなんて結局は幻想である。単なる一時しのぎのカンフル剤に過ぎない。
 「距離感」を美味しい所どりの道具にしてしまったら、いつしかその距離感がおかしくなってしまうと思った。
 やはり寂しさを現実世界で適度に飼いならす方法も用意していた方が幻想に飲み込まれなくて済む。
 
 解説の言葉で「家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?」と言う言葉があるが、これはズバリとこの作品の核心を突いている。
 本来なら家族の絆は癒しではあるとは思うというか、そう願いたい。でも必ずしもそうではない現実もある。
 親子であっても合う合わないは確かにあり、合わない場合は絆が呪縛になってしまう場合もある。
 そういう時は親と子という関係は他人でないが故に一層の悲劇を生み出しやすい。絆が呪縛となった時の怖さを感じた。

 ラストは切ない。 
 犯人は加害者ではあるがでも本質的には被害者なのだから。
 若い時は自分が見ている世界のみが真実だと思いがちだけど、角度を変えてみれば物事には別の真実もあるのだとわかるはず。
 そうすればまた違った選択も出来たはずだと思うとやりきれない。
 
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| 宮部みゆき  | COM(5) | TB(0) |















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