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2010-01-30 (Sat)
 

 「孤独」を7つの表情で表現した短編集

 「トニー滝谷」
 トニー滝谷は本名でありれっきとした日本人である。
 彼は絵を描くのが大好きでイラストレーターとして成功を収めていた。37歳になるまで幾人かの女性とも付き合ったが結婚を考えた事はなくその必要性を感じなかった。
 だがそんなトニー滝谷が恋に落ちる。相手は15歳も年下の「彼女」でとても自然に優美に服をまとう事の出来る女性であった。
 結婚し幸福な生活を送っていたが事故で「彼女」は亡くなってしまう。後に残されたのは部屋に納まりきらないサイズ7の服とサイズ22の200足近い靴であった
 トニー滝谷はサイズ7、靴のサイズ22の妻と同じ体型の女性アシスタントを求める求人を出す。
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 私にとって村上春樹さんは帰っていく港のようなものである。
 色んな作家、色んな作品を読んでもやはり自分の心の体温にフィットするのは村上さんである。
 だからと言ってバイブルのように常にむさぼっているわけではない。実の所は彼の作品を読むのは年に数回位なのだ。
 それは村上ワールドは魅力的であるが故にあまり浸るべき世界ではないからである。彼の持つ心地よい孤独感に飲み込まれてしまうかもしれないからだ。
 だから適度に距離を持ってたまにその世界にお邪魔するのが私と村上さんの関係性である。
 今回も久しぶりに、
 「帰ってまいりました」 
 と村上ワールドを堪能した。

 トニー滝谷は孤独が苦ではなかった。母親は早世し父親はしょっちゅう家を空けていたので、孤独な環境が前提でそれは拒否出来るものではなく彼自身と人生に深く染み込んでいた。
 そのトニー滝谷が愛する女性と巡りあった事によって「孤独」の持つ本当の意味を知る事になる。
 自分の「孤独」の深さを知り、それまで単に自分が「孤独」という存在に気づかなかっただけなのだと知る。
 
 私も孤独に強い方だと思う。「孤独耐久大会」というものがあれば楽々入賞レベルではないかと思う。多分一ヶ月位誰と会わなくても喋らなくてもあまり苦にしない。
 元々の性格もあるだろうし、孤独に強くなければ生きづらくなるから強くなったとも言える。
 でもこの作品を読んだ時私が孤独に強いのは本当の意味での孤独を知らないからなんだなと思った。本当の孤独というのは他人との関係性の中に存在するものなのである。ひとりで孤独は当たり前なのだから。
 愛する者を失う孤独、他人との関係性で生まれる孤独に強ければ本当に孤独に強いと言えるのだろう。

 この作品へのコメントで虚無感を感じると書いてあったが同意見である。
 愛する者を無くした喪失感ではなく、喪失感より更に深い絶望を感じる虚無感が胸に来る。
 孤独だったトニー滝谷が愛する者を得て人生の孤独な時期が終了したのにその人を失い、今度は更に深い孤独へと陥る。
 ラストの一文がほんとうに切なく怖い。

 トニー滝谷には幸せになって欲しかった。

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| 村上春樹 | COM(9) | TB(0) |















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