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2010-01-27 (Wed)
 

 手塚汐見は結婚6年目の専業主婦。子供は無し。
 多忙の為に夫はほとんど帰って来ず、暇な時間をパチンコへ行ったり昼寝をしたりとただ貪っていた。だがそんな汐見の世界も少しずつ変化して行く。一匹の同居猫が加わり、彼女が勝手にあだ名をつけたお隣の「ルフォン」という中学生の男の子と義父のダニーという中年男が登場する。
 それまで自分とって都合の悪い事や感情を見てみぬふりをしていたが、変化していく日々の中でだんだんと自分自身に嘘がつけなくなっていく。


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 「眠れるラプンチェル」は山本文緒さんの作品の中でも特に女性に人気の作品で、私も好きな作品ある。
 この作品が女性に人気が高いのは乙女心をくすぐってくれるからだと思う。
 私はよく記事で男性はロマンチストで女性は現実的と書くが、でも乙女心は不滅なのだ。
 
 一般的に28歳の女性が13歳の男の子に恋をするという設定は犯罪っぽいけど、物語の道具仕立てが上手くそういう不快感を抱かせない。むしろ応援したくなるというか、どうか今のままのプチ幸福に浸らせてあげて欲しいと願った位である。
 もう一つくすぐってくれるのが「ルフォン」と「ダニー」と「汐美」の三人が汐美の家に平日に寄り合い水道管ゲームやファミコンをしたりビデオを見たりして、汐美が作った手料理を皆でつつく光景。心に寂しさを抱えたもの同士が寄り合ってワイワイしているというのがなんかほっこりくるのである。
 だがあくまでもそれは期間限定の光景というのがわかっているから一層そういう描写をほっこり感じるのだと思う。
 
 勿論この作品は乙女心をくすぐらせるだけではない。なんせ著者はあの山本文緒さんであるからして。それだけでは終わらせていない。

 主人公の汐美は言わば夫に飼われている状況である。時折飼い主である夫が帰ってくるのを待ち、飼っている猫のように住む場所と食べ物を与えられてただただ時間が通り過ぎていくのを待つ。その生活を退屈さを自由である事を満喫していると自分に思い込ませている。そうしないと生きていけないからだ。
 かつて愛し合ったはずの夫婦関係はとっくに壊れて夫は他人より他人であったのに。汐美は「家」という名の牢獄に閉じ込められている。
 そう、汐美は山本さんお得意の「生きている鈍痛」を持つ女性である。
 他作品よりはマイルドな味付けをしているが、
 「ああ、やっぱり山本文緒さんだ」
 と思った。味を変えられたのかなと思ったが単に砂糖を入れたからだと納得した。

 でも結局汐美は死んだふりのまま生きていく事は出来なかった。扉をぶち破って外への世界へ向っていく。
 汐美は牢獄に閉じ込められていたけどそれは夫が閉じ込めていたのではなく、彼女自身がその世界に自分を閉じ込めていたのではないだろうか? 外へ出る扉は開かずの扉ではなくいつだって開ける事が出来たような気がする。
 青い空の下にある外の自由な世界では何も持っていない(と思っている)自分は生きていけないと思い込み、留まっていたのだと感じた。
 その気持ちはわかる。死んだふりのまま生きていく事の方が楽なのかもしれない。でもやっぱり私も青い空の下で深呼吸し生きている実感を味わいたいと思うだろう。

 読んでいて人は悩んでいるとその視野の狭い世界だけしか見えなくなる事が多いけど、ちゃんと別世界への扉はいつだって用意されているのだと教えて貰った。

 ただ個人的に乙女心は刺激するが男のロマンは刺激しないので男性の方にはウケが良くないのではないかと思う。
 
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| 山本文緒 | COM(4) | TB(0) |















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