12345678910111213141516171819202122232425262728293031
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2009-11-18 (Wed)
 
 前原滋子は9年前の忌まわしい連続殺人事件に飲み込まれ天職と思っていたライターの仕事から遠ざかっていた。
 だが結局書く事を捨て切れなかった彼女の元へある依頼が持ち込まれる。
 萩谷敏子という最近1人息子を交通事故で亡くした女性がもしかしたら息子には特殊な能力があったかもしれないという内容のものであった。
 何故なら息子が残した絵の中に描いた時点では未来の内容や、また知りえるはずのない事件の事実が描き込まれているからである。
 その絵の中で彼が死んだ後に発覚した事件で、両親が娘を殺して床下に埋め火事になって初めて時効後に出頭した事件を示唆する内容があった。
 人の良い滋子は我が子を亡くしたばかりの敏子にほだされた形で調査に乗り出すが意外にもそれは、長い間触れることの出来なかった過去の事件と向かいあうきっかけとなった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
 宮部さんは打率の良い作家さんである。
 作家によっては作品の出来に大波小波があり、読む前に「今回は当りかな外れかな。。。」と気を揉まなくても良い安心感があるのがありがたい。

 私はとりわけ宮部さんの書く登場人物が好きである。
 どこにでもいそうなという感じというわけではないのだが、息遣いというのか体温というのがにじみ出ている登場人物達に惹きこまれる。
 よく出てくるタイプがきちんとした人間としての芯を持つ温かみのある人物と、真逆に残酷というか大切な何かがくりぬかれているような人物も出てくる。
 その温度差のある人間模様が私のツボを押してくれる。

 この作品で一番印象的だったのが、
 「身内の中に、どうにも行状のよろしくない者がいる。世間に後ろ指さされるようなことをし、警察のご厄介になる。そういう者がいる時、家族はどうすればいいのか。出来損ないなどは放っておけ、切り捨ててしまえばいいのか」
 という問いかけである。

 これは難しい。。。。。

 「はい、これです」
 とすぐに答案用紙に答えを書いて提出出来ない。
 まあ強いて答えるなら、私自身はどうしようもないろくでなしであるならば切り捨てる方が良いとは思う。
 そうしないと関わる人達の人生や生活が踏みにじられてしまうし、書いているように切り捨てなければ得られない幸福もあると思うから。
 身内とか家族という言葉に呪縛されて自分の大事なものを損なう必要はないはず。切り捨てて得た幸福がよりそうしなかった場合より偽物だとは思わない。
 ただ親戚とか兄弟姉妹であれば最悪は縁を切ることが出来るだろうけど親子の場合はそう簡単にはいかない。

 この作品にはある事情により実の娘に手をかけた両親が出てくる。
 愛情をかけて一生懸命育てた我が子がほんの些細なズレでどうしようもない流れに飲み込まれ手の届かない暗闇へと行ってしまう。
 一旦流れに飲み込まれると流される本人自身にもその流れを止める事が容易ではなくなる。
手にかけた両親は究極の切り捨てともいえるが、ひょっとしたら鬼畜となった我が子を取り返す行為でもあったのかもしれないのかなとも思う。
 でもやはり殺してしまったら全てがパアーなんだよなあ。一縷の希望も存在しなくなる。

 私は「お母ちゃん」をやった事がないからわからないけど、子育ては喜びや幸福を得られるだけではなく、歯車が狂えば深い暗闇に陥る可能性は常にはらんでいるのかもしれないと思った。
 
 ランキング落ちているので、ぽちっと押してやって下さい。 お願い致します。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 宮部みゆき  | COM(3) | TB(0) |















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。