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2009-10-17 (Sat)
   

 手毬は幼い頃は確かに幸福な世界にいた。
 可愛らしい少女は家族に愛され隣人の初恋の少年もいて、彼女の世界には幸福のみが存在していた。
 それが壊れるのはそれまで姉と呼んでいた女性が母親だと知らされ、彼女と共に暮らすようになってから。母親は常に「女性」であり、自分本位の女性であった。
 突然手毬は幸福から弾き出された世界で生きていく事になる。。。。。
 
 手毬という1人の女性を7歳から10年ごとに67歳までを本人や彼女の家族が視点となり、運命に流されながらもその流れにあがらうよりしなやかに流され生きた女性の半世紀。 


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 山本文緒さんのタイトルの付け方は、
 「たいへんよく出来ました」 
 というスタンプを押したくなる位ツボに入るものが多い。
 それはセンスが良いというより、的を得たタイトルという言い方がふさわしいかもしれない。
 この作品を読み終えた時「落花流水」というタイトルがとても心に響いたのを憶えている。

 この作品は山本さんの数々の作品の中でも趣が違う。
 山本さんの記事で何度も書いているけど、芥川賞受賞前の作風は女性特有のこりとかあくを映し取るものが多かったけど、今回の作品はそういう枠から外れて人間の「生」の営みというかそういうものを感じさせる仕上がりになっている。

 主人公の手毬は幸福な世界から弾き出され居心地の悪い世界と折り合いをつける為に、自分の気持ちを隠し他人の顔色を伺う術を身に付けていく。
 この作品が面白いのは綴られる手毬の流転の人生が終息に向うに連れ、そういうものから彼女が自由になっていく所である。
 少女期~中年期辺りの手毬は面白味がない女性だと思っている。
 「あんまりお友達になりたくないなあ」  
 と思う。
 真面目で優しい女性だが、それは今いる世界と仲良くやっていく為に塗りたくった仮面であった。
 そんな彼女が幼い頃の初恋の男性と自分の家庭を捨てて駆け落ちした辺りからぐっと自分に素直に生きる。
 「いい人」ではなく自分のことしか考えていない潔さにとても魅力を感じる。
 それから自由になった手毬は本当に魅力的である。
 周囲に迷惑をかけた自分が罰を受けるべき人間とわかっていても彼女は後悔はしていない。 
 読み進む内にだんだんと、 
 「お友達になってみたい」 
 と思うようになった。

 晩年は色んな事情から手毬はひとりきりになってしまう。
 でも彼女は強がりではなく、毎日何故か穏やかな幸福感に浸っている。
 それは手毬が自分に正直に生きたからだろう。
 「悲しい時はその理由を考えるが、幸福なのに理由を考える必要はなかった」
 そりゃそうだ、幸福が存在しているのではなく、そう思う気持ちが幸福なのだ。

 ああ、手毬を見習いたい。 

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