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2009-10-14 (Wed)
 

 時はバブル絶頂期、文彦と永遠子も「結婚式」を挙げ幸せの絶頂にいた。
 文彦は広告代理店に勤務するやり手の社員。美貌の永遠子は希望の祝福されての寿退社をし専業主婦になるつもりであった。
 新居となる中古マンションも購入して、芸能人が式を挙げた有名な教会での挙式。
 時間と手間をかけて何もかも吟味し尽し最高の日になるはずであった。

 そのはずであったが、結婚式当日に思わぬことが起こる。文彦が捨てた女性が永遠子の前で手首を切ってしまう。
 なんとか無事に式を終え新婚旅行へ行くが結局その事がしこりとなり、険悪なムードのまま二人は成田離婚を考える。
 だが戻る場所は失われてしまい二人はそのまま暮らしていくが。。。

 二人の男女の10年の結婚生活を、時代の流れと出来事とを鏡にして書かれた物語 


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 唯川恵さんの本は60cm×90cmの四段仕様の本棚の一列分は埋まる位は読んでいる。
 が、私ははそのほとんどの内容を憶えていない。
 「それはアンタの脳みその問題だろう」 
 と言われたらそうかもしれないが、でも同じ少女小説家出身の山本文緒さんの作品もたくさん読んでいるけどちゃんと内容を憶えているのである。

 唯川先生ごめんなさい。
 先んず謝ってしまうが、唯川さんの作品は私にとっては残らないものが多いのである。
 間違いなく面白いのだけど作品が重力を持たないというか、消費だけで終わってしまうものが多かった。
 唯一印象深く残っているのがこの「ベター・ハーフ」である。

 おとぎ話であれば王子様とお姫様が結婚してめでたし、めでたしで終わるが、これはその続きの物語という感じである。
 王子様とお姫様もいつまでも夢の中にいられない。夢から醒めたら現実が待っている。

 文彦も永遠子もたくさん恋もし、たくさん遊んで独身生活を謳歌する。
 そしてお互いこの相手ならと思い結婚したが文中の言葉にあるように「結婚生活で出会うさまざまな厄介、煩雑、責任というボールが容赦なく飛んでくる」為にそれに振り回され相手を見失う事がある。
 当たり前だけど結婚前に思い描いた通りに事は進まない。思わぬ相手の性格や出来事に遭遇しては、
 「こんなはずではなかった」
 と呟いてしまうことになる。

 そういった結婚生活の「本性」が赤裸々に綴られているのが面白い。
 コーヒーなら砂糖もミルクも抜きのブラックという味わいである。
 この作品はバブル絶頂期からその後の崩壊、世紀末と時代の出来事を二人の結婚生活に色濃く反映していて、その味わいに更に「こく」を深めている。
 
 二人はよく喧嘩もし何度か離婚についても語るが結局は離婚せず共に暮らし続ける。
 「あんたら、よう別れんわ~」と読んでいておばちゃん気分で突っ込みを入れたくなる。
 でもそれを解説者の言葉にあるように唯川さんは「夫婦の絆」や「人情」という括りだけで片付けるのではなく、タイミングの問題であったり、利己的な理由であったりと多分実際の家庭でもお邪魔してそうな実情で書かれている部分にリアリティを感じた。

 最初は精神的には大人になりきれていない自己中心の二人が、飛んできた様々なボール打ちを返していくうちに少しずつ成長し、伴侶や自分以外の他人への思いやりを育む「大人の成長物語」でもあるのがこの作品を面白いだけではなく深くしている。

 結婚生活というのは終わりのない物語だよなあ~と締めてみる。

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| 唯川恵 | COM(11) | TB(0) |















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