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2009-10-03 (Sat)
 

色々な「家族」の話を柳美里さんが処理をほどこした標本集。

 「ある結婚式」
 Nは十数年振りに田舎へ戻る、それは異母妹の結婚式へ出席する為に。
 「どうしてもお兄さんに出席して頂きたいんです」
 と電話に出た時は声すら覚えていなかった異母妹の為に、そういう事をする自分にとまどいつつも彼は新しい靴を買い、髭もそり結婚式へ臨む。


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 『標本』
 「生物学・医学・鉱物学などで研究用または教育用とするため、個体またはその一部に適当な処理をほどこしたもの」ー(広辞苑より抜粋)

 「標本」という言葉に「家族」という言葉がプラスされたらそれは「うーむ」というブラックさがあり、あるいは「なるほど」という奇妙な納得感を感じる。
 このタイトルを見た時「商売上手。。。」という下世話な感想を抱いたのを憶えている。

 この作品には柳さんの身近な数々の「家族」の話がだいたい3~4Pでまとめられており、的確な抑えられた描写が「家族」の持つ様々な光陰の感情を浮かび上がらせている。
 これだけ色んな「家族」の話があると「家政婦は見た!!」のような覗き見的な感覚が味わえて面白い。

 「家族って何だろう?」 
  と読みながら哲学をしていた。
 柳さん曰く「不可思議な小宇宙」という言葉に座布団一枚あげたいと思う。
 本当に不可思議だ。
 こんな事を考え出すと終わりのない宿題をやっている気分になる。

  この作品にも述べられているけど柳さんのご一家はかなり以前に一家離散されている。
 父親がもう一度家族の絆を取り戻すために恐らく立てても誰も住むことのない「新しい家」を建設するが、それを父親を除く家族全員がシニカルな目線で捉えている。

 初期の頃の柳さんはとにかくよく「家族」をテーマにして作品を書かれていた。
 この作品だけではなく柳さんが自分の家族について書かれている時は、いつも冷めたようなというか皮肉な目線や言葉が多い。
 でもそれでいながら私が文章からいつも感じていたのは妙に体温のある感情であった。
 傍から見たら崩壊している家庭なのだろうけど、それでも何故か外見は取り付くっていても中身のない家族よりは家族っぽいなあと思うこともしばしば。 
  
 彼女が「家族」をテーマに繰り返し作品を書いていたのは勿論書きやすい身近なテーマだというのもあるだろう。 「好きの反対は無関心」といわれている。
 それならこれ程射程距離内に「家族」を抱えている柳さんは、剥がしきれない「家族」への思いを抱いていたんだろうなと思う。
 その感情が憎しみであったとしても無関心よりは重みのある「思い」のはずだから。

 柳さんの作品は独特の味付けが過ぎる所がある。それ故時々食べにくい味もあるが、この作品は割とあっさりテイストなので後味は悪くないと思う。

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| 柳 美里 | COM(3) | TB(0) |















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