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2009-09-12 (Sat)


 31歳の女性にまつわる31通りの「ファースト・プライオリティー(最優先次項)」
 
「庭」
母親が急逝する。
あまりにも突然過ぎて家族は哀しむ為の現実感がやってこない程であった。
後に残されたのは母親の少女趣味の一軒家と、母親の趣味の庭、そしてその住人としては不似合いな定年を迎えた父親と独身の娘「私」である。
父と私は母親の死を乗り越えようとするも「母の家」であった場所は母がいなくなると居心地が悪く、二人とも別々に暮らす為に住む場所を探し始めた。
その矢先に母親が申し込んでいたイギリスへのガーデニング講座ツアーの申込書が届く。
暇なので飛行機と英語が大嫌いな父親が楽しみにしていた母親の代わりにホームステイをすると言い出すが。。。

「ボランティア」
私の夫は転勤族であり、だいたい二年事に転勤になった。それを承知で結婚したが、引っ越す度の雑事に、その度の新しい人間関係、慣れた頃に転勤という不毛な繰り返しは想像以上に「私」をすり減らし情緒不安定であった。
パートの不採用で落ち込んでいる「私」にある時知り合った盲目の男性からボランティアを薦められる。 最初は誰かの役に立てる喜びに満たされていたが、同年代の盲目の男性から「幸せな人間の暇つぶしの援助は嬉しくない」と冷たい言葉を浴びせられる。。。


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 山本文緒さん未体験の方で長編を味見するのは億劫だけど、つまみ食い程度に味わってみたいとう方がいたらこの作品集をお勧めすると思う。
 だいたい10ページ程度の超短編なので読み易いし、山本文緒さんの実力が出し切っているとは言えないけど、色々なお料理が盛りだくさんで、そのどれもがある一定水準以上作品ばかりなのでつまみ食いし易い。どれかはお口に合うお品があると思う。 
 
 「庭」は山本さんの作品の中でも色合いが若干違う作品だけど秀作だと思う。
 こういう作品を読むと山本さんはいつも書かれるアクとかツボを突くような作品だけではなく、正当な(という言い方も変だけど)読み物も上手いなと思わせてくれる。
 突然連れ合いを無くした無骨な旦那さんが淡々と生活をしているように見える。自分で掃除や洗濯をし娘とそれぞれの役割分担を決めこなしている。
 表面的にはそれなりにやっているような描写が描かれている。
 でもホームステイ先のおばあさんの電話で父親が「毎日夜になると子供みたいに大きな声で泣いていたのよ」と聞かされて娘の「私」は驚き涙するシーンはぐっときた。
 連れ合いを亡くした父親の包み隠された哀しみのひっそりとした表現、ラストでゆるやかに前向きに動き出しつつある時間の描写が、淡々としているんだけど情感のあぶりだし方が巧みだと思う。

 「ボランティア」は話の内容というよりもある言葉にやられた。
 夫がボランティアに関して愚痴る「私」に言う。
 「君がしているのは、人を救うことで自分も救われたいと逃げているだけ」 
 この言葉を読んだ時、
 「わっ!!!すいません」 
 と思った。
 というのも私はかつて「自分が救われたい」と思ってボランティアをしていたことがあるからだ。
 あの頃は「人を救いたい」という思いの傲慢さに気づかない程の子供だった。
 その思いが「実の所は自分が救われたい」という事にも気づかない位バカだった。
 この言葉がその痛い頃の自分を思い出させてくれてこっぱずかしいというか、頭をポリポリしたくなるというか。
 いきなりかつての自分の恥ずかしい無智さと遭遇するのは冷や汗ものである。
 今はさすがに「救えるのは自分しかいない」と理解出来るだけ賢くはなっているけど。

 上記作品以外も山本文緒食堂のお品はどれもいい味である。

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