123456789101112131415161718192021222324252627282930
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2009-07-29 (Wed)
 
 全く売れない恋愛小説家の袴田は、類まれな才能持つ作家と盲信して己の才能を誇りに思っていた。
 そして彼のもう一つの誇りは家族であった。
 気立ての良い売れない作家の袴田を笑顔で支えてくれる妻の君江に、素直で心優しい浩と詩織。  だが四ヶ月前の実母の死後から家族という至宝は彼にとって地獄へと変貌した。

 息子の浩が豹変したように家庭内暴力へと走った。仲間と一緒に袴田をなぶりものにし、あまつさえエロビデオを彼に借りに行かせる始末。
 父親としての権威も尊厳も根こそぎにされる屈辱に耐える。妻の君江も浩と同様に変化し陰鬱で袴田に冷たい態度を取る。
 その理由に全く心当たりの無い袴田はただただ苦悩するしかなかった。

 そんな袴田に追い討ちをかけるかのように担当編集者の芝野から契約解除の三行半を突きつけられる。
 だがしかし息子の家庭内暴力を「鬼子」というタイトルで書くのなら本を出版してくれるという。
 勿論断るのだが結局は書かざる終えない自体へと追い込まれていく。。。
 
 そしてある事件をきっかけに袴田は浩の殺害を決意する。しかし自分に息子を殺せないと悟り、友人から紹介された業者に息子の処分を依頼するが。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
 新藤冬樹さんという作家を一言で表現するなら「えぐい」という言葉を思い浮かべる。
 とにかく人間の弱さ醜さというダークな面を本当にきっちり書いて来る。読んでいて苦い。
 「新藤さん、私もう少しマイルドな味付けがいいっす」
 と思ってしまう。
 もうちょっと違う味付けもして欲しいなあとグルメな私は思ってしまう。

 同じような人間のえぐさを書く作家に「不夜城」の原作者 馳星周さんがいるが、彼はどんなに残酷さを描いていてもどこか悲しみというか人の持つ絶対的孤独感というものが漂い切なさを感じるのに対して、新藤さんはただただ「えぐい」という苦味しか残らない。
 作品によってはただ「えぐい」だけで終わって何も残らないというより、不快感しか残さないというものがある(というよりそういうものが多いかもしれない)。
 
 でもこの「鬼子」だけはそれまで食してきた作品とは違い味わい深かった。作品の味に深みがあるというかこくがあるというか。
 「えぐい」のは相変わらず変わらないのである。読んでいて不快感を感じる部分もある。
 けれどこの作品に限ってはそれだけで終わっていないのである。
 むしろ今回ばかりはその「えぐさ」がラスト辺りで何ともいえない悲しみを持って響いてくる。

 この作品は父親である袴田が様々な事情と策略により、悪魔のように豹変した息子を間接的にせよ「殺す」という決意をするまでの過程が主軸として描かれている。

 血のつながりがある愛情関係は一度歯車が狂い出すとどうしようもない泥沼な関係になるのだと思った。
 逆に愛情というものがあったからこそ、その反動は凄まじいものになる。しかも「他人」であれば逃れられる関係だが、血のつながりがある以上その鎖はほどけない。
 袴田の血のつながった実の息子へ沸き起こるどうしようもない殺意と、それでも親としての理性とまだ残る愛情の狭間という息の詰まるような人間模様が書き込まれ、今回ばかりは惹きこまれて読んでしまった。

 もう一つ担当の芝野という男がひとでなしで、この男がこの物語に絡む事によって一際袴田の家族崩壊がやるせない。

 ラストで怒涛のオチが展開されて若干反則的な所もあるのだけど、
 「ごちそうさまです。美味しかったです」  
と初めて新藤さんの作品を美味しく読み終えた。

 こういう当りがマレにあるので新藤さんの作品はたま~に仕入れてしまうんだよな。 
 
ランキング落ちているので、ぽちっと押してやって下さい。 お願い致します。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
 

| 新藤冬樹 | COM(9) | TB(2) |















管理者にだけ表示を許可する

決意 デスレーベル
決意 デスレーベルの最新動画や評価レビュー、攻略情報なら「決意 デスレーベル」へ! …
2009/07/29 18:08  決意 デスレーベル
鬼子(おにご)【新堂冬樹】
久しぶりに読みごたえのある本だった。 =あらすじ= 売れない恋愛小説家の素直な息子が、ある日突然、悪魔に豹変した。親を奴隷のように扱う息子。己の書く純愛小説の世界を現社会にも求める男には信じがたい、許しがたい現実。何よりもなぜ悪魔に豹変したのかわから... …
2009/07/30 18:31  毎日キラキラDay☆
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。