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2009-07-22 (Wed)
 

 「何者にもなれない、何者にもなっていない」自分をもてあます女子高生の野田朝子。
 膿んだ平凡な毎日の流れを変えたくて母親に内緒で登校拒否児となる。
 気分転換の模様替えで処分するつもりだったパソコンを、ゴミ捨て場でたまたま通りかかった近所の小学生青木かずよしに進呈する。
 後日かずよしに会った時パソコンは直っており、彼はそのパソコンを使って朝子に風俗チャットのアルバイトを提案する。暇な時間をもてあましていた朝子は興味本位も手伝って引き受ける。
 かくして女子高生と小学生の秘密のバイトは幕を開ける。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  *若干ネタばれ有り 

 この本との出会いが20代後半で良かったと思った。

 私が綿矢りささんが処女作品「インストール」書いた10代の時にこの本を読んでいたら、きっととても彼女に嫉妬したと思う。
 「何者かになれた」綿矢さんを、
 「何者にもなれない」自分は悔しく思い妬んだと思う。
 若い時、特に10代は他人に対して寛容になりにくい。
 あら熱が少しずつ削ぎ落とされ、評価出来る器が用意された30代間近に読めたので本当に良かったと思う。
  主人公の朝子は「何者にもなれない、でも何者にかになりたい」という若者特有のはしかにかかっている。 10代というのはそういう悩みごとでもんもんとするのがお仕事といえばお仕事だけど、その自分探しを模索する姿がユーモアを持ってカラッと、でも気持ちの揺れが見事に書かれている。
 普通こういうテーマは若干重くなりがちだけど、女子高生と小学生の風俗チャットのアルバイトというニクイ味付けが全然違う世界の扉を開いてくれる。

 とにかく面白い。上記のような設定からして読み手をわくわくさせてくれる。
 自分の立ち位置に迷う朝子と、幼くしてエロの世界に踏み込まざるおえなかったかずよしの迷い子の2人が、ネットの向こうに広がる浅くて広い仮想世界で、逆にリアルな現実の悩み事を解く鍵をみつけていく過程は納得出来るものだった。

 読んでいて痛感したのは綿矢さんは文章が上手い。
 その上手さは文章が美しいとか、流麗とか、無駄な贅肉がないといった類のものではなく、独特のセンスが光る言葉の羅列。彼女独自の言い回しというか。
 その文章が故にこの作品はユーモアと軽みがある。
 これがデビュー作品というのが驚きだ。紛れも無い才能をビンビン感じさせる。

 私が一番ツボを付かれたのが、
 「どんな生活でもどんな生き方を選んでも、その人が毎日を幸せに送れているのならその人の勝ち」
 という言葉である。

 確かにその通りだと思う。ようはその人が「幸福」だと感じているのならそれでOKなのだ。たったそれだけでその人は勝っちゃうんだよなあ。
 驚くのはこの年でそういう事を書ける事である。
 それは綿矢りさ個人の人生観か?それとも作家綿矢りさとしての創造性か?
 どちらにせよやはり彼女は只者ではないのである。

 やがて朝子の自分模索の旅は風俗チャットの終了と共に終わり、彼女は学校へ戻る。

 そのラストが味気ないという意見が多かったようだけど私的には○だった。
 膿んだ日常のつかの間のつまみ食い的な違う世界を見て、自分が元いた場所の良い点を発見しそれまでとは違った視点を持って日常に戻るというのはリアリティを感じる。

 ラストでタイトル「インストール」真の意味が朝子のセリフから読み取れる。
 「やられた」と最後まで一本取られたと思った。

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