123456789101112131415161718192021222324252627282930
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2009-07-01 (Wed)
   

 「ポトスの樹」
 「俺」の親父はろくでなしのクソオヤジである。
 「俺」の誕生の瞬間からベロンベロンに酔っ払って別人の分娩室で騒ぎを起こし、その後の人生もまるで甲斐性なしの、子供のへそくりまで手をつけて涼しい顔をするまことに正真正銘のクソオヤジであった。
 そのクソオヤジを反面教師とし「俺」は勉強に精進し名の通った大学、会社へと進んでとっとと自活して縁を切ったつもりであった。
 そんな「俺」も結婚し妻と子供を持つ事によって新たな家族が出来る。
 そしてクソオヤジはクソジジイとなるが。。。。

 「バルタン最後の日」
 人間に捕まったザリガニの『俺』は「バルタン」と命名され飼われる事になる。
 バルタンの飼い主である一家は不器用なそれでいてお人よしな「お父さん」と「お母さん」と一人息子の「フータ」の三人家族。
 ある時突然のんびりやの「お母さん」が脱皮宣言をし駄洒落を連発しまくるようになる。
 バルタンは知っていた、何故「お母さん」が脱皮したのか。
 「お父さん」は会社で上手くいっておらず、フータは学校で苛められて「笑い」を無くしていたからだ。
 それなりに人間世界で飼われる事を満喫していたバルタンに思いがけない最後の日がやって来た。
 
 上記二作品を含む短編集


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 加納朋子さんの作品を始めて読んだのは「火曜日の水玉模様」だったと思う。
 読んだ時「北村薫さんの作風にそっくりだ~」と驚いたのが最初の出会いの感想であった。
 でも嫌悪感を抱かなかったのは作品世界の持つ優しさと、間違いなく才能を感じさせるクオリティの高さがあったからだと思う。
 その後も加納さんの作品は読み続け、加納さんもご自身の作風をだんだんと掴んでらっしゃった。
 ここ最近は彼女の作品はご無沙汰していたけど久しぶりに読んだのがこの短編集「モノレールねこ」であった。

 どれも粒揃いの作品で今回は一つに絞りきれず二作品をピックアップした。 どちらの作品にも共通しているのが語りの面白さとラストのオチでのしんみりさ。
 それまで読んで来た彼女の作品にない「面白さ」と「しんみり」という武器に、
 「加納さん、一体いつこんな二刀流を習得されたんだ!!!」 
 と思った。
 ご無沙汰している間に進化されていたんだなあと感じた。

 「ポトスの樹」はクソオヤジさんのダメぶりが笑える。ダメなんだけど、どこか憎めないキャラで愛嬌のあるダメ振りとでもいうのか。
 このクソオヤジさんは最後に美味しい所を持っていくのである。それまでのダメぶりはこの為の前振りだったんだと納得させられるラストである。
 やっぱりクソオヤジでもジジイになれば孫は可愛いんだなと思った。
 
 「バルタン最後の日」。
 この物語の主人公は「ザリガニ」である。このザリガニのどこかとぼけたような語り口の味わいと、一家のどこかイトオシサを感じる不器用さの描写の組み合わせが上手くマッチングしている。
 実はこの作品はタイトルが示す通りラストが悲しくそしてジーンとさせられる。
 「正直、ザリガニで感動するとは思わなかった。。。」 
 しつこいけど本当にザリガニが主人公なのだ。生きていたら色んな事があるもんだと思った。
 加納さんの奥義にやられてしまった。
 
 加納さんの作風はデビュー当時から割と万華鏡みたいに作品世界の彩りを変化させて行く。
 次はどんな世界を魅せてくれるか楽しみである。
 
 変わらずのご声援をお願い致します。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
 
| 加納朋子 | COM(4) | TB(0) |















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。