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2009-05-23 (Sat)
   

 目のみえないミチルはひそやかな孤独な中で一人暮らしをしていた。
 そんな変化の無い日常で彼女の住む世界を大きく変える出来事が起こる。
 それはある殺人事件の犯人として追われるアキヒロが、ミチルの部屋へ逃げ込み居間の隅に隠れて暮らし始めるからだ。

 誰かいる事に気づきながらも恐怖からしらんぷりするミチル。
 目がみえないから気づいていないだろうと思い込むアキヒロ。

 やがて孤独な2人は奇妙極まりない同棲生活を送りながら、お互いの「優しさ」に触れ、避けてきた「他人」との関わりへを受け入れていく。


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 私が乙一さんの名前を初めて聞いたのは「ダ・ヴィンチ」で彼を絶賛していた記事を読んだ時である。
 その時の印象は「ふ~ん、変な名前の作家さんもいるもんだなあ」という感じであった(そもそも名前が読めなかったよ)。
 でもその時は読んでみようとは思わず、数年後たまたま図書館でこの本と出会って読んでみようと思った。
 多分乙さんの作品に出会うべき時期に来たのだろうと思う。

 読んだ時私は、
 乙一様にひれ伏しました。

 なんていうのか、文章に人を引き付ける力があるというか、それは文章力があるという意味かと問われたらそういう意味とはまた違って、物語の世界にぐっと引き込むような説得力が文章にあった。読み始めてたちまち乙ワールドの虜になった。
 
 ミチルは「目がみえない」という障害の為に自分の殻に閉じこもり他人と積極に関われない。
 アキヒロは不器用な性格の為にこれまた世界と上手くいかない。
 孤独で寂しい2人が必然のように出会い、他者との関わりを恐れながらもそれでも受け入れて行く姿が繊細に優しく描かれていて、
 「頑張れ!!!2人共!!!」 
 と読んでいて心の中で何度もエールを送っていた。

 目の見えない女性の所に犯人が逃げ込んで奇妙な同棲生活を送るという設定は通常はあり得ないけど、事件があったから2人が出会ったというより、2人が出会う為に事件が起こったと思わせるような筆力は凄いと思う。

 傷つく位なら、上手くいかないのなら、一人で生きた方が良いとつよがりを言う気持ちはよくわかる。
 他者と関わらなければ寂しいけど、傷つかない。
 でも関わらなければ何も残らないし、何も生み出されない、何も無い。
 傷も生きている証なんだ思えるようになったら多少楽にはなった。

 2人が「他者」との関わりを恐れながらも「温もり」を知ると「相手」を求めずにいられなくなる過程は、人は何かを無くすよりも、無くしてはつらい物を得る時の方がずっと怖いんだなと思わせる。

 ラストで殺人事件の真犯人が暴かれるけど、「ああ良かった」とは思えず、切なさを残す。
 ミチルとアキヒロの2人の世界には光は射すけど、真犯人は暗闇の世界に取り残されたままになるからだ。
 「切なさ」の名手と言われる乙さんらしい〆だなと思った。

 この一冊が「乙一ワールド」の森へ彷徨う第一歩となった。

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