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2009-04-11 (Sat)
   
 大学生の江崎澄雄はあらゆる幸福とみなされるものを与えられていたが、彼の心は乾いていた。それは9年前に自殺した母親の死体を発見したのが澄雄であった事も起因していた。
 退屈しのぎに携帯の出会い系サイトにアクセスし、そこでジュリアという亡き母親に良く似た少女と知り合う。
 まるでお互いが欠けていたピースのような二人はたちまち恋に落ちる。だが2人の恋は前途多難であった。
 何故なら澄雄とジュリアではあまりにも生活環境に天と地ほどの差があった。。。。。


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 本の冒頭に結末が掲載されているけど、この作品は若い男女の心中までの物語である。

 私が10代か遅くともお肌の曲がり角の25歳頃までに読んだら、この2人に寄り添う感想が持てたと思う。
 が、30代も半ば過ぎて読むと、
 「おばさん、つっこんでもいいかなあ~」
 とナナメの感想を持ってしまった。
 ひょっとしたら、
 「年のせいというより性格の問題」 
 なのかもしれない(いずれにしても深く考えない方がいい気がする)。

 澄雄の父親は日本有数のお金持ちで彼自身天国に近い超高級マンションに住んでいる。望めばあらゆる幸福を手に入れられるが、彼自身はその与えられた役回りに馴染めないでいる。
 何者かになりたいと思いつつも、具体的にどうすれば良いのかわからない。

 そんな時に隙間風のように母親に良く似た少女と出会えば当然恋に落ちる。

 ただ、読んでいてやっぱり澄雄はおぼっちゃんなんだなあと思う。
 自分達の恋の行方に立ちはだかる困難に彼なりに一生懸命取り組んでいるのだろうけど、そりゃあラストに心中するのだから澄雄が現実処理能力バリバリでは物語は上手く進まないのだろうけど、なんとなく彼の言動に歯がゆさを感じる。
 「しっかり、しっかり、頑張って」 と背中を叩きたくなる。
 結局澄雄は自分の知っている世界の物差しでしか計れない。
 
 一方ジュリアは万年厄年じゃないかという位についていない。
 母親は病死し父親はろくでなしの為家は貧乏。アルバイトでやっと貯めた学業資金も父親にかっぱられる。
 典型的な不幸な美少女というジュリアだが、個人的にジュリアというキャラは好きにはなれなかった。
 キュートで不幸に一生懸命耐える姿はけなげだと思うのだけど、
 「身を引けば全てまるく収まるのだから、身を引いて女の株を上げればいいのに」
 と冷めた感じで読んでいた。
 これは自分が女性だから男性の方に肩入れしてしまうからなのかなあ。

 つっこみまくって読んだ作品だけど、懐かしい空気を思い起こさせてくれた。自分が自分だけのスポットライトを浴びていた若い頃を思い出した。
 勿論こんなにドラマチックではないが、自分の世界に浸りきっていた青い自分を少し思い出した。
 2人はそのスポットライトを浴びたまま死を選んだ。

 スポットライトの眩しさはもう記憶の彼方である。。。。。

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| 石田衣良 | COM(4) | TB(0) |















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