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2009-03-28 (Sat)
 

 「私」は家政婦をしながら女手一つで息子を育てていた。
 ある日、風変わりな博士の元へ派遣される事になる。
 博士は数学者であったが事故により、一日80分しか記憶がもたない。翌日訪問しても彼は全て忘れており毎日毎日が初対面のやり取りから始まる。
 
 あらゆる事柄から取り残されたように過ごしているように見える博士であったが、彼は愛する数学の世界でその美しさを愛で生きていた。
 そんな博士に「私」も少しずつ数学の世界の美しさに目覚めていく。息子のルートと共に。。。

 私と息子のルートと博士の限りない優しさを含んだ日々の物語。


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 この作品が私の小川作品デビューだけど、よくぞこういう物語を産み出してくれてありがとうと思った。
 おとぎ話というかメルヘンというかとにかく「美しい物語」である。
 大往生のあかつきには一緒に棺に入れてもらいたいと思っている。

 題にある通りにこの作品は数学(というか数式)が重要なモチーフとなっている。 
 誰もが一度は通る道だと思うが学生時代試験の度に、
 「一体こういうのが将来何の役に立つのか!!!」 
 と思いながら数学の勉強をしていた。とにかく数学が嫌いだった。本当に嫌いだった(まあ数学が好きだという人はめずらしいと思うけど)。
 学生時代に苦労して憶えたサイン、コサイン、素数etcは全てどこに行ったのか(遠い目)。。。。。

 でもこの作品を読んで数学って本来は美しいものなんだと思った。
 数学の話しが幾つか出てくるけど「へえ~そうなんだ」と驚く不思議な内容が多く、数学が全くダメだった私でもその美しさが理解出来た。
 私って結構かしこかったんだなあ~と錯覚した位。
 学校の勉強もこういう感じで教えるのなら、数学嫌いは減ると思うなあ。

 「私」と息子のルートと博士は何気ない日々を楽しく生きている。些細な事柄をいとおしんで今を生きている。
 でもそれは博士の持つ記憶障害というあやうさを含んでいるのでどこか切なさもある。
 三人の愛おしくて切なく日々がただただ美しく綴られ「ああ、どうかこの平安な日々が続きますように」と願いつつ読んでいた。

  博士はある観点から見たら不幸だけど、別の観点から見たら自分の愛する世界のみに生きているのだから幸福とも呼べる。
 結局幸福も不幸も存在するのではなく、どう捉えるのかなんだろう。
 この作品を読んで、こちら側が見ようという意思を持てば世の中は美しいものを見せてくれるのだと思った。

 とにかくジャンルの違う様々なモチーフを一つの物語として織り上げた小川洋子恐るべし!!!と感じた一冊だった。

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| 小川洋子 | COM(6) | TB(0) |















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