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2009-02-28 (Sat)
 

 漫画家という肩書きを持つ「得能史子」の本業での年収は15万円。 当然食べていけないので副業でまかなう。そんな彼女の大好きなものは昼寝と無職。
 自分の中に住む「なまけもの」の血のうごめきを感じつつも、今日もお気楽に貧乏くらしを楽しむ。


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「今はとにかく笑いたい」
 という方がいらっしゃったらおすすめのエッセイマンガ本。

 題の通りの貧乏暮らしの中で、著者の「トクノウフミコ」さんの可笑しくも、楽しくも、笑える日々をいま流行り(?)のエッセイマンガで綴られた作品。

 トクノウさんは笑いのつぼの押し方がなかなかセンスがあり、とにかく笑せて貰った。
 「ギャハハ」といより「ふふふ」という感じの笑い。
 彼女が履いていたスカートを自転車に巻き込ませてしまう下りは久々に「腹を抱えて笑う」をご体験。 
 
 この本の発売は約3年前らしいが、あまり話題になっていないのが残念というか不思議。
 個人的には「ダーリンは外国人」や「150cmライフより」全然イケている(まだこの言葉は使えるのだろうか)と思う。惜しい。。。。

 ただ私の笑いのセンスのレベルがどれ位かわからないので、ひょっとしたら基準値よりズレているかもしれないのだが、私の笑いのつぼは押されまくりでした( 「笑いのつぼ」は「泣きのつぼ」よりも個人差があるからなあ)。
 
 笑ってください。

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| マンガ | COM(6) | TB(0) |
2009-02-25 (Wed)

    

 昭和40年代の終わり、大阪の壊れかけたビルの中で男の死体が発見される。
 その男の名は桐原洋介。 愛人とおぽしき西本文代とその共犯と思われる男が捜査線上に浮かんでくる。
 だが文代もその男も事故死してしまう。その為この事件は迷宮入りになりそうであった。

 だがこの事件の根底には見えない不幸の花が咲きつつあった。
 傷つけられた二つの魂の復讐が始まっていた。


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 「白夜行」と言えば東野圭吾さんの代表作の一つでテレビ化され、語りつくされているのに今更書く必要あるんかいと思われそうだが、
 「私もこの作品が好きでこの作品について書きたいんだあーーー」 
 のである。

 東野さんの作品の中で何か一番好きかと言われたら多分現時点では「白夜行」になると思う。
 それほどまでに面白くて辞められない止まらないらない「かっぱえびせん」状態であった。

 ちょうど同時期に天童荒太さんの「永遠の仔」を読んでいたので
 「親によって癒されがたい傷を負わされた子の悲劇」 
 というものをつくづく考えさせられた。

 「子供は親を選べない」という言葉があるけど、痛い親の元にたまたま生まれてしまったら本来背負わなくてもよい荷物を背負わされる事になる。
 その荷物の重みを糧にする人もいるだろうが、その重みに潰される人もいるだろう。
 そういうのはもう運だと言えばそうなんだろうけど、その一言で片付けるのは消化不良になる。

 選び取ったわけではない荷物を背負わされたら人はどう生きるべきなのかと考えさせられた。

 後、不思議なんだけど私はこの作品がフィクションだと言う事も、100%物語という事も理解しているが、それでもラスト 『あの人』がその後どうなっていくのだろうと心から心配した。幸せになって欲しいと切望した。

  そう思わせるものがあった。

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| 東野圭吾 | COM(0) | TB(0) |
2009-02-22 (Sun)
 

 双子の男の子の一人が手術に失敗して性器を失ってしまう。
 悩んだ末両親は高名な性科学の権威ジョン・マネー博士に助けを求めた。
 「性は環境が作る」という持論の持ち主である博士は性転換を勧め、男の子としてではなく女の子として育てるように提案する。
 その助言に従い両親はその男の子-デイヴィットを女の子として育てるが、当然ながらデイヴィットは成長するにつれ自分の性別に苦悩するようになっていく。


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 「事実は小説より奇なり」ということわざがあるけど、それを地で行っている内容だった。
 ネジの一本抜けた博士の助言(人体実験)のせいで、デイヴィットが自分の性別のアンビバレンツに苦悩する様は本当に気の毒である。

 この本を読んだり性同一性障害の話を聞くと当たり前だけど、その人の性別を決めるのはDMAでも肉体で環境でももなく「心」なんだなあとつくづく思わされた。
 じゃあ心が性別を男か女かにするのはもう神様の決定事項の分野なんだろう。

 読んでいてデイヴィットはなんて誠実で良い青年なんだろうと思った。
 とんでもない困難な目に合いながらも前向きに生きる彼の言動にはいたく感動させられる。
 勿論重圧があるからこそ、前向きに生きようとしている、生きるしかないという部分も大きいと思うけど。
 何の困難もなかったら「前向き」に生きるという指針は持たないと思うので。

 実はこの書き込みを書いた後、アマゾンのレビューを読んだらデイヴイットと彼の双子の弟さんが2人とも自殺されたと知りかなりショックを受けた。 
 彼の前向きさはやはりその重圧の過酷さでもあったのだ。
 むごいとしか言いようが無い結末にただただ残念である。

 冥福をお祈りしたい。

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| ノンフィクション | COM(0) | TB(0) |
2009-02-21 (Sat)
   

 無認可保育園「にこにこ園」園長兼私立探偵のハナちゃんこと花咲慎一郎。
 今日も彼は「にこにこ園」の赤字補填の為に裏の仕事を引き受ける。

 最初は紛失した婚約指輪を探すという軽いジャブ的な仕事をこなしていたが、なんの巡りあわせか、愛する女性は行方不明になり、人殺しの現場に足を踏み入れる事になり、芋づる式にやっかいごとに巻き込まれ、遂にハナちゃんは24時間以内に殺人事件の真犯人を探し出さないと昔の刑事仲間が殺されるという羽目に合う。。。。。


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 これは花咲慎一郎シリーズの第二作目。
 二作目は前回以上に魅力あるキャラの登場に加えて、ストーリーが面白い。
 前回は魅力あるキャラがストーリー引っ張っていた感があったけど、今回は起伏と展開のあるストーリーで引き込まれる。文句なく楽しい。

 また登場人物がより魅力的で、特に美貌のゲイやくざ「山内 練」は際立った存在感である (別の物語も登場する柴田さんご贔屓のキャラクター)。 
 魅力あるキャラが横の線なら、ストーリーの楽しさが縦の線という感じで物語を紡いでいく様は、柴田さんの手腕の見事さであろう。

 「適度な熱さとロマンチズム」持つハナちゃんは物事に、人に、一生懸命ぶつかっていく。
 それが故に今回は「走れメロス」状態になるが。。。。。

私の年になると、
 「もう少し手抜きしてもいいんじゃない?」  
 と言いたくなるのだけど、必死に物事に取り組む姿がツボを押すのも事実である。
 頑張る姿に愛おしさと切なさとおかしさが混在していて、しみじみイケル仕上がりの作品になっている。

 お試しく下さい。

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| 柴田よしき | COM(6) | TB(0) |
2009-02-21 (Sat)
 

  新宿にある無認可保育園「にこにこ園」の園長「ハナちゃん」こと花咲慎一郎は、慢性的な保育園の赤字を補う為に探偵業と二足のわらじを履いている。
 元はマル暴の辣腕刑事であったが、誤って薬によって錯乱した同僚を撃ち殺してしまい自暴自棄になる。
 そんな彼を救ったのは『一晩に二度、夢を見る』、この「にこにこ園」に通う子供達。
 今日も彼は愛する子供達の為にヤバイ探偵業に精を出す。

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 個人的に柴田さんはあまり有名な作家さんではないけど、ストーリーテラーとしての才はなかなかの方だと思う。
 ただ個人的に作品の質の出来、不出来の波が結構有り、これまた個人的に出来、不出来の差は作者の作品に対する愛情?に比例する感じがする。。。。
 この作品は柴田さんのお気に入りだなと思わせた。

 ストーリー自体は際立って面白いというのではないけど、出て来る人物のキャラクターが活きていて、そのキャラ達が作品を面白くさせている。
 ゲイのやくざにデザイナー、家出少年、元超売れっ子の女流漫画家、元美人局をやっていたマダム、超極道だった殺された男を愛し続ける美人女医等クセのあるキャラクターをストーリーに織り交ぜながら、作品世界を練り上げている。
 
 そんな魅力あるキャラ達の中でも主人公のハナちゃんはハナマルである。
 彼の適度な熱さとロマンチズムが作品に暖かい色をつけている。
 女性も充分楽しめるけど、30代後半以降の男性には「ハナちゃんの適度な熱さとロマンチズム」を思わず応援してしまいたくなる感情を抱かれるのではないかとなんとなく思った。
 
 一風変わった探偵物語。

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| 柴田よしき | COM(4) | TB(0) |
2009-02-18 (Wed)

   
 日々生きていく中、暗い穴に落ち込みそうになる時が誰にでもある・・・・。
 でもそれでも私達は生きていく。
 その生きる事を様々な角度から見たノンフィクション。


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 題に惹かれて読み始めた。秀脱だと思う。 自分が不調な時の心細さを上手くすくい取った題である。 

   これは結構良かった。
 20代に読んだけどそれでも染み込んで来た。30代になって改めて読み返したら 染みまくりかもしれない。

 ここに出て来る人達はそれぞれの問題を抱え、それぞれの歩みで今を生きようとしている。
 決して「おー」という感動巨編ではないけど、読み終えた時に、
 「まっ、私も頑張ってみるかな」  
 という気持ちへ振り子が少し揺れる気がする。
 
 後この著者の方のどこか淡々とした文章がここに出てくる人達の人生(もしくは生き方)の輪郭を上手く、そしてどこか優しく浮かびあがらせている気がする。
 どこかクールに感じる作風が「生きる」事の哀しみと愛おしさを感じさせることに貢献していてナイスである。

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| ノンフィクション | COM(0) | TB(0) |
2009-02-16 (Mon)

    

 1999年に桶川駅前で起こった女子大生猪野詩織さん刺殺事件。
 当初は通り魔と思われていた事件であったが、思いもかけない深層が潜んでいた。

 「自分が殺されたら犯人は小松」

 そう言い残した詩織さんの言葉を受け取った人々の一人である著者の清水さんは、事件の真相へと向かっていく。

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元々ノンフィクションものが好きで、しかもこの事件はかなり有名だったので好奇心から読んだ。
 読んで良かったと思った。

 何故ならこの本を読む事がなかったら、あの事件は現代に起こった事件のひとつという記号的な意味で記憶の隅に追いやられていたと思う。
 でも読むことによって詩織さんが抱えていた思い、どんな事があり、あんな風に亡くなられなければならなかった人がいたいうのは憶えていると思う。
 
 「桶川ストーカー殺人事件」と言えばストーカー法成立のきっかけとなったり、「ストーカー」という言葉が一般化された(とでもいうのだろうか?)基になった事件でかなり有名な事件である。
 でもこの本を読むまでは一般的に知られている事柄しか知らず、あの事件にはこういう深層があったという事を知った。
 
 書かれている内容はヒドイなあと思う。
 犯人とされる人達の行為は勿論の事だけど、驚きなのはこの事件での警察の対応のお粗末さ。
なんせ実行犯をあぶりだしたのは警察ではなく、著者である清水さんというのだから。
 警察さえしっかりとした対応をしていれば詩織さんは死なずに済んだかも知れない。
 後一応建前として「正義」側の機関がその役割を放棄して自分達の利益の為に動くと、「悪」側の機関よりも始末に終えないと知った。

  ノンフィクションの重みを感じた。どんなに酷い事柄が書かれていてもそれは「事実」という事に。

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| ノンフィクション | COM(0) | TB(0) |
2009-02-15 (Sun)
 

 若くして亡くなられた女優「夏目雅子」。 
 娘亡き後長い月日が流れ、母のスエさんは娘の生きていた姿を綴る。

  母は娘へ家に帰宅する時は、
  「小達雅子で帰ってらっしゃい」
 と約束させる。

 女優になることに反対しつづけた母と、それでもやりとおした娘との過ごした短くも愛おしい日々。
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 夏目雅子さんといえば私にとっては「西遊記」の三蔵法師役の人という印象が強い(このキャスティングした人はGJ)。
 亡くなられたのは子供の頃だけどそれでも彼女の美貌は記憶に残っており、美人というより麗人の域の美しさだったように思う。

 この本を読んだ正直な感想は

「お母さん、いいんですか?」 

若くして亡くなられた娘さんの回顧記というイメージで読み始めたけど、勿論基本はそういう内容だけど、「プチ暴露」的な所があって少々驚いた。
 私が夏目さんだったら、書いて欲しくなかったような気がするかなあ。。。。
 多分スエさんはおおらかな方であけすけ感のある内容も彼女の性格故なのかも。

 夏目さんが本当にお芝居が好きだったらしい記述が見られ、それがしんみりくる。
 年を重ねた姿を見たかった。

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| あ行の作家その他 | COM(0) | TB(0) |
2009-02-14 (Sat)


1996年-「僕」ことワタナベトオルは20歳になろうとしていた。
 その「僕」が失われていく時の流れの中で、自殺した親友キスギの恋人直子と、風変わりな同級生緑達と共に過ごし、何かを失い、そして得ていった喪失と再生の物語。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今さら「ノルウェイの森」ですが、私の敬愛する村上さんの代表作なのでお取りあげ。

 私は3歩あるいたら忘れてしまいそうな名前の「ワタナベトオル」君に妙な親近感を抱く。
 それは彼が自分の心に固い殻を作り特定の人しかそこに入れようとせず、でもやはり人を求めエゴと優しさの中を行ったり来たりする所が似ているから。 

 ワタナベ君は唯一とも言える友人のキスギが自殺してから、ある事に気付く。

『死は生の対極としてではなく、その一部としてと存在している』 

 この下りを読んだ時「うん、そうそう」と私は呟いた。

 心の病でけちょんけちょんに苦しみ生死の境目をさ迷った時、「死」は確かにすぐそこにあった。
 私はそれまで「死」と「生」はそれぞれ独立していて「死」は遥か先に存在しており、自分が死ぬ時に初めてそれは姿を見せるものだと思っていた。
 でもその時「死」の存在を身近に感じた。「死は常にあるんだなあ~生きている今も」とつくづく思った。

 親友の死、大切な人の死、様々な出来事を乗り越え、その痛みを糧としてワタナベ君は大人になっていく。彼等は死んでも、ワタナベ君は行き続けていくのだ。
 いつか必ず青年は大人になっていく。。。。

 村上さんの作品は「友達、恋人、家族がいても孤独を感じる人」が好きだと思う。
 太宰治さんのように「誰も自分の孤独なんて理解出来ない!!ふん!!!」ではなく、
 村上さんは「孤独だけど、まっ、それはそれで仕方ないさ。とりあえず紅茶でも飲むかな」というクールでマイペースな感じがしてそこが美味しい。

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| 村上春樹 | COM(6) | TB(0) |
2009-02-11 (Wed)



三谷はある日飲めない酒を飲み酔いつぶれ、付き合い始めて間もないガールフレンドの南雲みはるの家へ泊まる事になる。
 南雲は毎朝1個のりんごを食べる三谷の為にりんごを買いに行く、「りんごを買って5分で戻るわ」と言い残して。
 しかし翌朝になっても南雲みはるは戻って来なかった。
 南雲みはるはどこへ行ったのか。。。。。
 「事件」か「事故」かそれとも「失踪」か?
 それから三谷の迷路のような南雲みはる探しの日々が始まる。


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 これはかの「ダ・ヴィンチ」でもお勧めされていたけど納得の面白さ。佐藤さんの作品を初めて読んだけど、とにかく文章が巧みで文章だけでも読ませてくれる。

 この作品はミステリーでもあり、恋愛小説でもあり、一粒で二度美味しいという感じ。
 どうなるのか、どうなるのかと夢中になって読んだ。展開が巧みだ。
こういう顔を見せたら、ああいう顔を見せ、という感じでストーリーがころころと変化し、それがラストの〆で「ああ、なるほど」というつながりになる。

 人生て当たり前だけど選択の連続である。今選んだ事が次への道となりまた選択をし人生が続いていく。

 三谷がGFの南雲を探す羽目になるという事柄は彼どの選択から起きた事なんだろうと思った。
 南雲がりんごを買いに行ったのを止めなかった事か、南雲を待つのではなく仕事へ行った事か、それよりもなによりも毎日りんごを食べるという習慣を選んだ事か。
 なんか何気ない選択もその後の人生に大きく関わるのかもしれないなあとふと思った。
 案外重大な選択よりも、日常の些細な選択の方が人生に深く影響するのかも。

 これはラストが切ない。でもああ、こういう終わり方になるんだと妙に納得させられた。意外なラストだけどきっとこれで良かったんだろうなあと思った。

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| 佐藤正午 | COM(2) | TB(0) |
2009-02-09 (Mon)


「斜陽」のモデル太田静子、作家太宰治を両親とした作家の太田治子。
 手術失敗の後急逝してしまった母亡き後綴られた、母と子が生きていた日々の確かな軌跡。


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 根がミーハーなので太田さんの作品を読み始めたのも、彼女が「太宰の娘さん」という実に失礼な動機であった。

 だがこの作品は最早そのような形容詞など必要の無い傑作である。素直に感動した。

 「幼いあなたは私にこう聞いたの。“太宰ちゃまは、美知子さまと山崎さんとママの中でだれが一番好きだったの」

 幼い治子さんが母の静子さんに問うた質問。静子さんは治子さんの為に「ママよ」嘘をつく。そして治子さんが成人した時太宰が一番好きだったのは「○○」であったと告げる。
 私も太宰さんの作品を読んで多分彼が一番愛していたのはこの人だろうなと思っていた。2人の切なさに涙がこぼれた。

 太宰治さんは自殺し静子さんと治子さんは残された。でも生きている者達はその後のドラマを辞めるわけにはいかない。
 2人が生きていた日々。それは貧しさ故に苦しさを伴いながらも多分不幸ではなかったんだろうな思わせてくれる。勿論他人が人様の幸・不幸を論じるのは僭越過ぎるけど、でもこのお母さんがいる限り不幸ではなかったんだろうなあと思った。苦労と不幸は必ずしも=ではない。

 この作品を読み終えた時感じたのは太宰さんは死んだけど、当たり前だけど彼女達は生きていたのだなと。
 だとすれば死によって残されるのは死なれた事によって生の世界に残された者か?
それとも死ぬ事によって生きている者達の時の中に残された者か?
「心映えの記」はその問いに対し1つの形を見せてくれる。


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| 太田治子 | COM(2) | TB(0) |
2009-02-08 (Sun)
 

『独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である』
  

そう呟きを残し、自ら命を絶った著者の高野悦子さん。彼女が生きた学生時代はあの60年代の学園闘争の最中。
 その中で考え、悩み、そして生きていた高野さんの心の姿が鮮烈に綴られた日記が基になっている 。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ これは若い頃に読んだ時は、お布団に一緒に入り抱きしめて寝ても良いくらい共感しまくった。
 でも三十路過ぎて読み直すと、なんか落ち着かないというか、「ムズムズ」してしまう。 
 それは若い頃の「自分と言う名の独り舞台」に立っていた時の自分を思い出すからだろう。

 そこは私だけが思いっきりスポットライトを浴びれる孤独な場所だった。その舞台で一直線に不器用に生き、自己の世界に浸りきっていた。高野さんの姿にあの頃の青くて幼い自分を思い出して妙に落ち着かなくなってしまう。
 歳を重ねるというのはそっとしておきたいものを少しずつ重ねる事でもあるなあと思う。

 やがて大人になって舞台から降りた時、私は始めて観客席に座り「そこ」を見た。
 すると思っていたよりもずっと小さな舞台であったのに気付いた。舞台に立っていた時はあれ程広く感じ、だからこそ孤独を感じていたというのに。

 おまけに舞台の上からは観客席しか見なかったけど、こちら側に立った時色んな所が見えた。会場や舞台全体、同じ位置から見える観客席など。
 その時私は自分を取囲んでいる世界(現実)は多面性があり、見る位置を変えることによって変化するものだと知った。自分が思い込んでいたよりも現実は広い世界を有しており、そして決して固定された世界ではないのだと。

 高野さんは舞台から下りる前に、自ら命を絶ってしまった。出来れはこちら側から見える光景も見て欲しかったと思う。

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| 高野悦子 | COM(4) | TB(0) |
2009-02-07 (Sat)


母親思いの心優しい少年ジェルミ。
 父親を早くに亡くした彼は、美人の母親とたくさんの友達、キュートな恋人に囲まれて幸福な日々を過ごしていた。
 それが母親サンドラの再婚相手であるグレックが現れてから一変してしまう。
 精神的に脆さを抱える母親を盾に、自分(グレック)との性的関係を迫ってくる。苦悩しながらも母親の幸せの為に関係を受け入れるジェルミ。
 だか性的暴行は段々とエスカレートをしていき、耐え切れなくなった彼はグレック殺害を決意する。
 グレックが乗る車に細工をするが、その車にジェルミの愛する母親のサンドラも乗っていた。。。。

 萩尾望都さんの卓抜された表現力と構成力で、一人の少年の魂の蹂躙される様と再生が綴られた物語。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (以下ネタバレになるので要注意!!!!) 

 萩尾望都さんは有名な漫画家なのでお名前だけは知っていた。だけどタイミングのせいか作品は読んだ事がなく、この「残酷な神が支配する」が初萩尾望都だった。
 読んだ感想は、
 「萩尾望都さんは人間国宝にすべきだ!!!」 
 と思った。
 自分にその力があったらそうしている。
 自分の国語力でこの作品の素晴らしさを余すことなく伝えられないのがもどかしい。

 とにかく主人公ジェルミが気の毒。

 彼は殺人という重い十字架を背負う事になるが、それは彼のせいではない。勿論殺人を選択したのはジェルミだけど、追い詰められてしまったためにその道に追い込まれたようなものである。ごく普通の少年が虐待のせいで魂が損なわれる様が本当によく描けている。

 更に追い討ちをかけるのが、母親サンドラが全てを知っていたという事実。
 愛する母親の為にグレックとの地獄のような行為に耐えていたのに、その母親は虐待の事実を知っていて見て見ぬふりをしていたというのがこの作品を凄くさせている(実際性的虐待があった時こういうケースは少なくないらしい)。

 母親が全てを知っていたというこの一点において、ジェルミが絶えた地獄の日々の我慢も、果てはグレックを殺すことによって母親まで死なせるはめになった事も、全てが無意味なものになってしまったというのが怖い。
 ある意味ホラーよりホラーだと思った。
ジェルミはグレックを愛してはいなかったけど、母親は愛していた。その母親に裏切られた傷は、グレックから受けた傷より深い。「愛なんて割に合わない」という彼の言葉は当然だ。

 
 実はこの作品BLの要素があって、義兄になるイアン(グレックの息子)が心身でぶつかってジェルミを癒そうとする。その辺りも美味しい。。。
サンドラから受けた傷によって愛する事を躊躇するジェルミが怯えながらも、また愛する事に涙が零れた。
 BLが苦手な人もいるだろうけど、でも読み応えのある作品なので読んで欲しい。

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| マンガ | COM(0) | TB(0) |
2009-02-05 (Thu)



杉田平介の妻直子と娘藻奈美の乗ったバスが事故にあう。
 直子は死んでしまったが、藻奈美は辛うじて助かる。だが娘藻奈美の体には妻直子の魂が宿っていた。
 夫婦2人の奇妙な新たなる生活が始まるが、若い体に魂を宿した直子と平介の間には当然ながら時の流れと共に溝が生まれていく。やがてその溝に互いに向き合いそれぞれの決断を下すが・・・。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ミステリーファンの中では知られていた東野さんが一挙にメジャー作家へと上り詰めるきっかけとなったのがこの作品。
 とにかく良かった。目新しいモチーフではないけど感動させる仕上がりになっているのは東野さんの力量だと思う。
 この作品によって東野さんの未開拓の才能が開花されたという感じ。

 読むにつれ元は仲の良い夫婦だけど、妻の魂は若い娘の体に宿った事により、少しずつ2人の仲はズレて行くのがわかってくるのが切なくなってくる。
 当たり前といえば当たり前だけど、魂は以前と変わらないけど器(という言い方が正しいのかわからないが)が違うのだから当然その影響を受け心も変わってくる。
 でもお互いへの気持ちが無くなったわけではなく、どうしようも出来ない現状の環境で変化せざるえない2人の思いのやるせなさが本当に切なかった。
 
  平介はそのまんま、でも直子は不本意だけど若い肉体を持つ事になる。それまで共に歩んでいた時の流れに残されたのは直子のはずなのに、平介の方が取り残されているような感じだ。
 これが男である平介が若い肉体を持つ事になる話だったらどうかなと思った。なんとなく女性が取り残させれるのは「切ない」感じだけど、男性が取り残されるのは「やるせない」感じがする。 

「平介、ファイト!」と声をかけたくなる。 

 ただ欲を言えば魂は死んだはずの藻奈美にもう少しスポットが当たっても良かった気がした。
 スポットが平介と入れ替わった直子なので、
 「う~ん藻奈美ちゃんは?」  と頭の隅にこびりつつつ読んだのがちょっと痒かった。

 ラストは賛否両論がかなりあったけど私はあのラストで良かった派。
 「Best」の選択ではないかも知れないが「Better」な選択だったと思う。 
 二人がそれぞれに下した決断が相手への愛だと思う。

 ちなみにこの作品は映画化され直子の役を広末涼子さんが演じていたが結構ナイスな演技だった。
 それまで彼女の魅力は50%位しか理解していなかったけど、この映画を見て80%にUPした(当社比)。

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| 東野圭吾 | COM(2) | TB(0) |
2009-02-02 (Mon)


ある日突然天災のような「悪」に人生を破壊された被害者とその家族達。
 愛する者を奪われた者の復讐は有りなのか?その主題を軸に物語は進む。

理不尽に愛する者を奪われ人を殺める者-----------
 愛する者の為に人を殺める者-----------
 ただ欲望の為に殺める者----------
 彼らの行き着く先にある世界は-------------

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 これは面白かった。ストーリー展開にすっかり引き込まれた。正直この作品があまり話題にならなかったのがとても残念。もっともっと評価されていも良い作品だと個人的には思う。
 以前貫井さんのインタビューを読んだ時、自信作だったこの「殺人症候群」があまり話題にならなかった事が残念だというようなコメントがあったけど、そりゃそうだろうなと思った。
 その後これまた個人的に貫井さんの作風が迷走しているような感じにも見受けられるので余計評価して欲しかったなと思う。

 この作品は色んな登場人物の「やるせなさ」が漂う。
 だがそのやるせなさが作品を面白くさせている。
 皆それぞれの事情を抱えており、それが正しいとか間違っているとか容易にそういう物差しでは判断出来ない行為へと駆り立てる。

 自分が第三者の位置から見ればその行為は当然間違っているといえなくもないけど、そういう答えを紡ぎだすのにためらいを感じる。
正しくないのはわかっているのだけど、感情的にはその行動に共感してしまう。
 こういう時は正しさってなんだろうと考え込んでしまう。正しさで人は救えないし、救われない時もある。

  自分が愛する者を理不尽な悪によって奪われたら当然復讐を考えると思う。ただ、その果てにある世界は自分が望むような世界があるわけではないんだろうなとこの作品を読んで思った。
 きっとその世界へ言ったら、もうこちら側へは戻って来れない。 
 
 「愛する者を奪われた者の復讐は有りなのか?」
 この問いに明確な答えは出せないけど、1つの形を提示してくれる作品だと思う。

 *この作品は「~症候群」シリーズ三部作の最終作だけど単独で充分楽しめる(というか他の症候群シリーズは今イチ。。。。)

 応援願います

| 貫井徳郎 | COM(0) | TB(0) |
2009-02-01 (Sun)


愛し合いながらも、ある運命的な事件のために離婚した男女。
 やがて10年の時を経て2人は偶然再会する。それをきっかけとして互いに心の内を何も語らず別れた思いを吐き出すかのように往復書簡を交し合う。
 2人とも重い過去を引きずったまま今を投げ出すように生きていた。だが手紙を通して互いに相手の思いを知り、共に過去、現在を見つめながら、過去の重みを脱ぎ捨てて互いにそれぞれの未来へと歩みだそうとする。。。

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 この題を読めなかった人安心して下さい私もその1人。自分の持っている国語力で勝手な読み方していた(当然全然違う読み方)。
『きんしゅう』 と読むと知った時、響きが美しいなあと思った。

 私にとってこの作品は「初!宮本輝」でしたがとても感動させられた。2人の男女の互いへの思い、けれど、どうする事も出来ない運命の流れの中で生きていく姿が美しい日本語と確かな文章力と共に綴られている。宮本輝さんの筆力にただただ感嘆した。日本語って美しいなあとしみじみ感じた。

特に作品中の

「『今』のあなたの生き方が未来のあなたを再び大きく変えることになる」
という言葉は胸に染みた。過去の積み重ねが「今の私」なら、過去を連らね未来を作る今が「未来の自分」を作り出す。

 心の病を持っていると「今を生きる」というのはなかなかに難しいものだけど、結局の所今を前向きに楽しく生きて未来を作り出すことが心の病から開放される一番の近道かもしれないと思う。
 多分心の病を持っているとかいないとか関係なく、大事なことなんだろう。

応援お願いします

| 宮本輝 | COM(0) | TB(0) |
2009-02-01 (Sun)


色々な「事情」を抱えた人々の「物語」短編集

 表題作「プラナリア」
 春香は一昨年乳がんになり片方の乳房を失った。最初は自分を慰め気遣ってくれた恋人や友人達も、命の心配がなくなってからは早く立ち直れと言う。
 だが彼女にとってそれはそういう問題ではなく、肉体的、精神的な苦痛が存在しておりなかなか働けなかった。。。。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 山本文緒さんの作品は私にとってどれも粒揃いだけど現時点で一番好きなのはこの短編集。
 とにかく出てくる人達がくせのある、問題を抱えた人物ばかりで、でもそういう人達の活きた物語がとても上手い。
 確か満場一致で直木賞をとられたそうだが、それが頷ける完成度と質の高さ。
 山本さんは私にとって感性で魅せてくれる作家さんだったけど、この作品集を読んだ時作家としての力量で魅せてくれ、より一歩上への段階へ昇られたと思った。

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| 山本文緒 | COM(0) | TB(0) |
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