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2009-01-31 (Sat)


1992年5月24日-漫画家山田花子さんは自ら命を絶った。
 「みんなウソつき、裏切りもの、他人を当てにするな」
 「私は何処にいても邪魔者」
 

この本は彼女がまるで吐き出すかのように言葉が綴られた日記が基になっている。


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 この本は随分前に出版され随分前に読んだのだけど、本屋でこの本を見た時、
 「買ってくれえー」 
 というオーラを感じていた。ただ何分も直感的に自分の抱えている目をそらしたい部分と同じ匂いを感じ購入を躊躇していたが、本屋に行く度の「買ってくれえー」オーラに根負けしてしまった。

 この世の中に多数派の者もいれば必ず少数派の者もいる。一般という「ものさし」から見ればその人達はズレている。山田花子さんは(私も)少数派に存在する。
 山田花子さんが何とか皆と同じ「ものさし」に合わせようと努力しつつも、それでもはみ出してしまう彼女のほとんど狂気に近い苦悩と絶望が記されており読んでいて苦しくなった。
 今思えば別にものさしが違っていてもそれでも良いのではないかな、自分が持っているものさしで計れる人達と生きていけば良いのになあとも思うけど。
 それは私が多感な時期を潜り抜けて、今いる場所になんとか辿り着いたからそう思えるのかもしれないけど。

 ただ。。。たいていこういう本を読むと、
 「うん、うん、わかるよ、わかるよ」
 と思うのにこの本は、
 「うん、うん、わかるよ、わかるんだけどさあ」 (この違いはなんだろう。。。)
 と思ってしまう。。。自分勝手というかそういう部分も確かにあるのでそう思ってしまうのかなあ。

 一般とはものさしの違う人達。でも確かに存在している人達の、そういった一人である山田花子さんの彼女が感じたであろうその存在の痛みを、こういう人が生きていたのだということを知れてよかったと思う作品だった。

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| 山田花子 | COM(4) | TB(0) |
2009-01-31 (Sat)


弁当工場の夜勤で働く香取雅子は同僚の弥生から「夫を殺した」という電話を受ける。
 雅子は弥生の夫の死体をグループを組んで仕事をしていた他のメンバー、ヨシコ、邦子にも手伝わせてバラバラにして捨てる。
 それが各々の人生を大きく揺るがす全ての発端で有り、始まりでもあった。

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 これはとにかく「凄い」作品であった。のめりこむように読んだ。数多く本を読んでいると大体話の方向というかストーリーがつかめるのだけど、この作品に関しては、
「すいません、私をどこに連れて行って下さるのでしょうか?」
という位全く読めないというか想像出来ない展開の連続だった。 とくに期待してというわけではなかったので、読み進めるうちに続けて不意打ちのボディブローを食らっている感じがした。

 この作品のテーマは至極簡単で「孤独」 。
 とにかくここまでやるのかという位陰惨にくっきりと描かれている。
 「もう、いいじゃないですか」 
 と思うくらいである。

 主要の登場人物達はみんな孤独と閉塞感を抱えている。
 弥生の夫をバラバラにして捨てるのを協力するというありえない設定も、今すぐ見えない出口の中でさ迷っている彼女達にとって、出口ではないけど現状を変化させる出来事として手伝ったのかなと思わせられる。

  「死体をバラバラにして捨てる」という異質なモチーフで、それに関わる人たちの不幸という孤独の輪郭線をくっきりと浮かびあがらせてるのが上手い。 
 彼女達が願った変化は予想もしない出口に辿り付く事になる。

 読んでいて何故だか切なさを感じてしまう。
 決して一般的な意味で使われる情緒のある「切なさ」が表現されているわけではないけど、みんな何かが欠けている人たちでそれが故に孤独に悲しい「切なさ」を感じてしまう。

 ラストは賛否両論あったが私的にはああいう陰惨とも言えるラストで不思議な切なさを感じられたので良かった派である。
 多分彼らの欠けている部分と、私が欠けている部分が共鳴し合ったのだと思う。

 しかしととにかく「凄い」の一言に尽きる作品であった。読書の醍醐味を味わえた。

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| 桐野夏生 | COM(0) | TB(0) |
2009-01-27 (Tue)

「おじさん、私の母さんのこと愛していたでしょう」

 そう、構造に問う夕美子。カメラマンをやっている彼は亡くなってから十数年も忘れられない女性がいた。それが夕美子の母で有り、構造の姪でもあった夕季子。だが構造は彼女が生きている間は胸に、亡くなった後は詩集にこっそりと隠した夕季子を写した5枚の写真に思いを秘めていたが。。。。。
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 今まで数々の短編を読んだけど、この作品はBest3に入る一品。多分これからたくさん本を読んでもこの作品はBest3から落ちる事はないと思う。
 「わが店お勧めの一品!!!」
 と銘をうっていもいい位である。

 この作品に出てくる登場人物は皆優しく、それぞれ自分なりに懸命に人生を生きていて、それが悲しいくらいに入り混じり、人が生きていく醍醐味を多少なりとも伝えてくれる。

  ラストで構造が長い事隠し持っていた5枚の写真に、姪の夕季子が秘めた思いが種明かしがされるのたけど思わず 「わあ~」 と声を出して驚いた。 「カタルシス」という言葉を実感した。

 この短さで様々な色合いを見せてくれた連城さんは上手いと思った。もともとそれまでにも幾つか彼の作品は読んでいたけど、この短編でその実力を改めて感じた。
  
 直木賞を受賞した「恋文」を含み何篇かの短編が収録されているけど、正直私的には「恋文」が一番乗れなかった。。。。他の作品の方が楽しめたんだよなあ(遠い目)

応援して頂けると嬉しいです。

| 連城三紀彦 | COM(2) | TB(0) |
2009-01-25 (Sun)
 

「私」は仕事の為に、奇妙な場所にいる奇妙な博士に会う。それが全ての始まりであった。いや真の始まりは「私」の知らない所で既に起こっていた。「私」に迫りつつある「世界の終わり」。「私」はマイペースにその時を待ち受ける。
 「僕」がいるのは「世界の終わり」。ここには争いも憎しみも欲望も何も無い世界。「僕」はの世界に些細なズレを感じながら生きていた。「僕」は自分の影と共に「世界の終わり」からの脱出を試みようとする。
 「私」と「僕」の2つの世界。
 互いにクロスする世界を織り交ぜて話は進行し、驚きの終着地点へと向かっていく。


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村上春樹さんの作品で有名なのは「ノルウェイの森」だと思うけど、私はこの作品が最高に好きだ。 この作品で私は村上さんに落ちた。大往生した暁には抱きしめて共に眠りにつきたいとさえ思っている。

 読んだ時に、
 「私がこにいる!!!!これ私の事だ」
 と本当にビックリした。
 「なんで村上さん、私の事を知っているの!!!」 
 とたまげた。

 「これ私の事だ」という感想を持つ作品に太宰治さんの「人間失格」が有名だけど、「人間失格」がある種の人の「性質」を表現しているとすれば、この作品はある種の人の「本質」を表現している。
 自分の本質をここまで明確に言語化されていて本当に驚いた。というか言語化した村上さんは凄過ぎる。

 この作品を読まなければ私は多分本当の自分を知ることはなかったと思う。
 自分の本質を知ったからといって世界が変わったとかいう変化があったわけではないけれど、知らなければきっと今の自分という人間が、本当の自分を守る為に存在する顔だという事に一生気づく事はなかったと思う。

 後この作品読んでいて読んでいて1つ1つのものがとても愛おしく感じた。サンドイッチ、太った娘等。。。
  特にサンドイッチを食べる描写の部分はお腹がすいていたわけではないのに「ああ、サンドイッチを食べたい!!!」と思った。
 村上さんの作品は五感に響く。
 
  受ける側さえアンテナをOFFにしてれば何気ない何でもないものにでも「何かある」事が出来るんだなと感じた。私達の世界を構成する「1つ1つ全てのものに愛がある」んだなあと思う。
 この物語にはそう感じさせるものがあった。それが物語りの持つ力なのかもしれない。
  
  村上さんの作品は合う人合わない人がいると思うけど、自分が何者かリトマス試験紙的に読むのも一興である。


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| 村上春樹 | COM(4) | TB(0) |
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