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2010-08-14 (Sat)


 院長夫人である夏枝は医師である村井との2人だけの時間を邪魔されたくないという思いから、三歳の娘であるルリ子を外で遊ばせた。だがその間にルリ子は佐石という男に殺されてしまう。
 夫の啓造はその事実を知り「汝の敵を愛せよ」という教え実践したいという動機を隠れ蓑し、夏枝への復讐の為に犯人の子供を引き取りその事実を知らせずに彼女に育てさせようと決意する。
 「陽子」と名づけられ、夏枝は実子の徹以上に可愛がって育てた。
 陽子は器量や気質も申し分のない少女としてすくすくと成長し、兄の徹も妹の陽子をとても可愛がったが、啓造だけは犯人の娘である事実に苦悩し引き取った事を後悔をしていた。
 ある日夏枝は偶然啓造の手紙を読み陽子が犯人の子である事実を知る。愕然とするが啓造への憎しみから表面上は気づいていない振りをし変わらぬ態度でいた。
 だが夏枝の陽子への愛情は消え去り憎しみの灯が点り、それは陽子が賢く美しい女性へと成長するにつれてますます燃え上がっていった。


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 氷点との出会いはテレビドラマが先だった。
 「継子イジメ」「血の繋がらない兄と妹の恋愛感情」「出生の秘密」等等。。。
 「美味しいよなあ。。。」 という素材テンコ盛りなドラマチックな展開が本当に面白かった。
 これ程萌えの緩急のツボを押えた原作を是非読んでみたいと思ったのが出会いである。

 設定と人物描写がとても巧みで読み手を飽きさせない。
 ただ基本設定自体は本来ならありえないと思う。幾ら妻の事を憎んでいるからと言って犯人の子供を育てさせるというのは現実では考えづらい。また「?」という唐突な展開も度々ある。
 それに主人公の陽子はありえない位の善意の少女として描かれていて「嘘っぽさ」を感じさせるギリギリの所で踏みとどまっている(陽子に関しての人物設定は考えがおありなんだろうとは思うが)。
 だがそれらを読み手に飲み込ませる魅力がこの作品にはある。それが無かったら作品として破綻していただろう。

 この作品は良い意味での大衆文学だと思う。
 作者の三浦さんはクリスチャンで有り作品のテーマは「原罪」。テーマを知った時「なんじゃそりゃ」と正直思った。それまで食べた事もない代物だったからである。
 原罪とは「人が生まれながらにして持っている罪のこと」らしい。
 私はメンタルだが基本はノーテンキで自分の半径1m以内の事は苦悩出来ても、1km以上向こうの事は壮大過ぎて取り扱えない。自分の今日の晩飯の献立に悩めても、「生まれながらの罪」なんてテーマで悩めない。
 だがこの作品を読んで初めて「原罪」というものを鑑みる事が出来た。もし単に「原罪」というテーマをまな板に載せられているだけであったら私は見向きもしなかったろう。
 難解な主題を解かりやすく表現して読む者に喚起させ、文学へと昇華させているのは凄いと思う。
 
 解説者の方は原罪は法には触れる犯罪ではない、人の心に巣食う負の感情だと具体的に説明している。
そういう人間の憎しみや妬みといった心の機微が丁寧に掘り起されている。登場人物の懊悩する姿は共感というより共振という方が近い感じである。感情に同調するより、その根幹にある弱さに感じ入るとでものだろうか。
 ただ私はやはりクリスチャンではないのでキリスト教的な考えである「人は生まれながらに罪深い」というのは肌に馴染めないとも思った。
 負の感情は罪なのだろうか?だいたい負の感情を抱かない人間なんてそりゃ神様しかいないだろう。その感情と葛藤し乗り越えていけば成長の肥しとなる。
そういう感情を罪深いというのはキリスト教の「いい子ぶり過ぎ」な感じがしてナンセンスだろう。
 三浦さんがクリスチャンだから仕方無いとは思うが、私にとってはキリスト教的な要素が「なんかなあ~」と思わせる部分だった。

 でも再読してこの作品は「元祖萌え作品」だとしみじみ感じた。
  
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| 三浦綾子 | COM(6) | TB(0) |
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