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2010-06-16 (Wed)
 

 不祥事の為に警察官を辞職した佐伯は今は小さな探偵事務所に雇われていた。
 その事務所にある老夫婦から人探しの依頼が舞い込む。11年前に自分達の1人息子を殺し、今は少年院出て社会復帰を果たしているはずの坂上という男を探し出して今の暮らしぶりを調べた上で、赦すべきか赦すべきではないのかを判断して欲しいというものであった。
 佐伯自身姉をむごたらしい犯罪で殺された犯罪被害者遺族であり、到底加害者を赦せない彼にとって苦悩の仕事となるが。。。

 この事件を契機に事務所では犯罪の加害者の追跡調査を請け負う事になり佐伯は様々な事件の加害者と関わっていく。
 そして佐伯自身もまた姉を殺した加害者達を追跡していく。
 

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 薬丸岳さんとの最初の出会いは江戸川乱歩賞受賞作の「天使のナイフ」である。
 この作品の記事もいつか書こうと思うのだけど、それまで読んできた江戸川乱歩賞受賞作品の中でも一際深みというか奥行きを持った作品であった。
 勿論ミステリーが主体ではあるけどそれだけで終わっていない。
 デビュー作というのが意外な程犯罪加害者の贖罪の思い愛する者を失った人間の思いが物語に宿っていて、その思いが体温と共に伝わってくる感じだ。
 楽しみな作家さんが誕生したなと喜んだ。

 この作品も犯罪を犯した加害者側の人間が出てくる。
 自らも犯罪被害者遺族である佐伯は仕事柄何人もの犯罪加害者と関わる事になり、身を切り刻むような思いをしながらを「罪と罰」に対峙していく。
 佐伯の姉を殺した犯人達との絡みを主軸に幾人かの犯罪加害者とそれに関わる人間模様の連作になっているのだけど、色んなタイプドラマの引き出しがあって読み応えがあった。

 読んでいてしみじみ思ったのは、 
「何を持って罪は許されるのか?」 
という事である(あくまでも殺人限定として)。
 勿論法律上の裁きはあるがでも刑期を終えたから罪を償った事にはならないだろう。あくまでもそれは社会規範上償ったに過ぎない。
 被害者遺族が許さない限り罪を償った事にはならないのかもしれないが、では遺族はどのような謝罪と行為をもって加害者を赦せるのだろうか?
 加害者の悪党の1人が、
 「許すことなどできないだろう。悪党はその事を自覚しているんだ。だから、許してもらおうなどという七面倒臭いことは考えない」
 この言葉は救いが無いが真実の一面を現していると思う。
 命を奪われた者の遺族が奪った側を赦す事は無理だろう。私個人は人の命を奪った人間の罪は許される事は基本は無いと思う。
 だからこそ人の命を奪うのは禁忌なのである。

 佐伯の父親は同様の悲しみと苦しみを持つが息子に「俺達は絶対不幸になっちゃいけないんだ」と言うシーンは心に響くものがあった。
 犯罪被害は紛れも無く不幸だけど、だからと言って不幸に取り込まれてしまってはいけないんだよなと。
 取り込まれてしまったら理不尽な運命に屈服してしまうような気がする。
 突然の犯罪被害は避けようが無いけど、でも不幸かそうじゃないかの状況を選択出来る余地はある。

 この作品の中で暖かな光を感じた箇所であった。  

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