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2010-11-20 (Sat)


「何でもやってやろう屋」の好奇心旺盛な元私立探偵の成瀬将虎は知り合いの女性からある依頼をされる。
 自分の家族が交通事故で亡くなったが本当にそれが事故なのか調べて欲しいというものであった。彼女が事故死を疑っているのは生前その家族はある悪徳霊感商法にハマって騙されていたからである。
 将虎は悪徳霊感商法「蓬莱倶楽部」の調査に乗り出すが相当真っ黒な会社であり、思いもかけない展開へと導かれる。
 そして同時期に彼は自殺を図ろうとしていた麻宮さくらと運命の出会いをする。彼女は相当のワケありであった。


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 前回の記事の作品もそうだけど立て続けに「風呂敷広げ状態」な作品を読んだ。 
 この「葉桜の季節に君を想う」はそれはそれは見事な風呂敷の畳み方である。これ程見事な畳み方はめったにお目にかかれないだろう。

 実はこの作品を手にするのは二度目である。一度目は読む為にわざわさ借りてきたのに何故か食指が動かず読めなかった。今回は文庫本で借りたのだけど(前回は単行本)背表紙の「必ず二度、三度と読みたくなる徹夜本です」という煽り文句 親切な助言に心動かされて読んだ。読み終えてたまには助言に従ってみるもんだと感じ入った。

 この作品は主に元私立探偵成瀬将虎が知り合いから請け負った事件の話と、彼が若き日の探偵時代に関わった事件の話と、ある事件に関わっている女性の話が並立してストーリーが運ばれている。
 かなりラスト近くなるまで主旨の異なる(一応は関連性があるにはあるが)幾つかの話が並立して進むのでどうやって畳むのだろうとお手並み拝見という感じで興味津々で読んでいた。
 で、種明かしの部分を読み「おおお!!!!」と感心してしまった、上手く仕掛けたなと。全くの想定外で久々に心から「やられた」と思った。
 何ていうのだろうボーリングの玉が上手くバラけたピンを倒したような印象である。種を知って再度パラパラと読み返したが本当に上手く仕掛けている。騙し絵のような感覚でそれまで見えてなかった景色にびっくり。

 詳しく書くとネタバレになるので書けないのがつらい所だけど、ラスト辺りは少々「じ~ん」ときた。
 ジーンと来た部分を書くとモロネタバレになるので我慢するけど、ギリギリラインで言葉にすると、
 「情熱さえあれば人は何歳からでも始められる。幾つになっても可能性を抱ける」(これ以上言えん)
 そのことにちよっびっと感動した。ファイトが沸いてくる感じだった。

 文中の中に桜の木の話が出てくる。桜が咲く季節にはもてはやされるのに散ってしまったらお払い箱で、紅葉もするのにほとんどの人がその事実すら知らない。でも桜が散った後も桜は生きている。桜の葉はそう簡単に散りはしないと。
 言われてみると桜の木は春には盛大に注目を浴びるが桜が散ってしまったら見向きもされない。でも桜が散っても桜の木はちゃんと存在しているのである。
 読み終えた後タイトルの「葉桜の季節に君を想うということ」を読むとなかなかに感慨深い。ラスト辺りの「ジ~ン」とした光景と上手くマッチして染み入るのだ。 

 惚れ惚れするような風呂敷の畳み方だった。

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| 歌野晶午 | COM(2) | TB(0) |
2010-04-03 (Sat)
   

 アンバッピーな短編集
 「おねえちゃん」
 美保子は姪の理奈に相談事があると自宅へ呼ばれる。
 尋ねてみると夜の9時を過ぎているのに自宅には高校生の理奈しかおらず、両親も姉の姿も見かけない。
 美保子は不審に思いつつも理奈の相談事に耳を傾ける。その内容は自分は親から嫌われているというものでいつも自分ばかりに厳しい両親に対する不満であった。
 そして理奈は両親の話の盗み聞きから自分が白血病であった姉のドナーのとなる為だけに生まれた存在で有り、それが故に姉の病気が治った以上は自分は不必要な存在でモノにしか過ぎないから愛されなかったと語る。
 否定する美保子に理奈から衝撃の現実を突きつけられる。。。。

 「玉川上死」
 玉川で高校生達が死体の真似をしてどこまで行けるかというゲームの賭けをしていた。そしてその最中に仕掛け人である2人の高校生が何者かによって殺される。
 殺された茂野達弥の母親の信子は打ちのめされたいたが、そんな信子の元へ一緒にゲームをしていた秋山少年が毎日のように仏壇に手を合わせに来ていた。
 元気な秋山少年の訪問は我が子を亡くしたばかりの信子には正直憂鬱であっが、ある日たまたま達弥の部屋で彼の奇妙な光景を目にする。
 そして夫にその事を相談すると彼から予想もしなかった事件の推理を聞かされる。それは犯人逮捕を一日も早く願っていた信子にとってはつらい事実になるものであった。


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 歌野晶午さんの作品は失礼ながら私にとっては「つまみ食い」カテゴリーに分類される作家さんである。
 絶対読む作家さんではなく、他にお目当ての作家がいなければ図書館から連れて帰るという感じである。
 でも歌野さんは中々の実力を持っており、この作品は特にその才能が結晶化された粒揃いばかりと言っても過言ではないと思う。

 まず表題の「ハッピーエンドにさよならを」というタイトルが、
 「技あり!!!」
という感じて決まっている。タイトルで既に一本取っている。
 このタイトルの短編作品はなく短編集の総タイトルであるがタイトル通りハッピーエンドはない。
 「アンハッピー満員御礼」
 と、どの作品もと苦すぎる結末が待っている。でもそれでいながら読み終えた時に不快感よりも読み応えを感じさせるのは上手いなあ~と思う。

 今回は絞りきれなかったので二作品をピックアップした。
 「おねえちゃん」はラストがとにかく痛くて、あまりにも光を感じられない結末で驚いた。のっけからパンチの効く作品を持ってきたよなあと妙に感心した。
 親に愛されていないというのは思春期に親と仲たがいしている時によく持つ感情だけど、それを上手く白血病のドナーというモチーフと絡めて意外性のある着地点へと辿りつかせている。このタイトルの真の意味がわかった時悲しかった。 
 結局の所親子の愛情のボタンの掛け違いなのだけど「愛情」というのは取り扱い要注意の劇薬でもある。
 目に見えない「愛情」を「愛情を示す」という形に変換してあげるのはどんな関係性であっても大事だなと思う。 

 「玉川上死」は意外な事件の真相にカ久々のカタルシスを感じた。
 「題材の選び方+組み立て方+=ラストの完成図」という図式が見事だと思う。
 最初に見せられる完成図の影に真実と思うわれる完成図があり、それを見抜くのが殺された被害者の両親というのミソとなっている。
 単なる遊びのゲームに潜んでいたとんでもない悪意。だがその悪意の源には殺された被害者の少年が関係しているという皮肉。多分ラストの数行のオチがこの作品の作品性を高めている。

 どの作品も唸らされる秀作ばかりで外れくじなしのくじ引きみたいである。またオチも意外性があるものが多く楽しめる。
 アンハッピーは苦いけど、たまにつまみ食いするのなら悪くないと思った。

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