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2009-12-19 (Sat)


 両親に捨てられたような形の慎一は自分を親代わりに育ててくれた祖母と二人暮らしをしていた。
 慎一は「置いていかれた」心の傷を隠して他人とは一定の距離を持って付き合っていた、自分が傷付かない為に。
 ある時バイト先のカフェで彼は高校時代の担任斉藤夏姫女性を目撃する。美人で気さくな夏姫に恋心を抱くも彼女は突如学校を辞めてしまいその後の消息がわからなかった。
 慎一は思い切って声を掛け念願の恋人同士になり、初めて本当に人を好きになる喜びを知る。
 だが夏姫はいつもどこか見えない壁を持っていた。近くに居ても彼女の心がすっと遠くに行ってしまう時を何度か感じた。
 そしてそれはある1人の男性と深く関わっている事に気づき慎一は嫉妬に苦しむハメになるが。

 「天使の卵」の続編。


 
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 私は基本的に二番煎じというのはあまり好きではない。
 でも小説とかは結構好んだりする。出がらしのような苦味部分を味わえるからかもしれない。

 この「天使の梯子」は大ベストセラー天使の卵」の続編である。
 「天使の卵」の内容をかいつまんで説明すると、
 「主人公の歩太はGFである夏姫の姉春妃と恋に落ちる。たが夏姫は別れを告げられても歩太を忘れられずに、また姉とBFが付き合っている事を知らずに春妃に恋の相談する。歩太も春妃も夏姫を裏切っている事に苦しむがその関係に突然のピリオドが打たれる。夏姫が春妃の家に留まった歩太を目撃してしまう。「お姉ちゃんの嘘つき。一生恨んでやるから」と言葉を放ったその数時間後春妃は妊娠したまま医師の手落ちで帰らぬ人となる。。。。」
 内容だけを見たら「ドロドロ」という感じだけど、村山さんの透明感ある文章で読ませてくれた。

 ただ前作のラストは「えっ、これでお終いかよ」と架空の登場人物達とはいえ、「お気の毒です」とお悔やみを言いたくなる位悲しいエンディングだったので続きが読めて嬉しい。10年もかかるとは思わんかったけど。
 この「天使の梯子」は春妃の死によって深い傷を負った歩太と夏姫の再生の物語と言える。

 私が続編の「天使の梯子」の方が好きなのは「残された者の痛み」が痛切に響くからだと思う。
 夏姫は姉とBFに裏切られ本当は「腹を立てるべき立場」なのに、キツイ言葉を投げた数時間後に姉が死んでしまい「怒れない立場」へと自分を追い込み罪悪感に苦しむ事になる。
「誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ」
 別に夏姫の言葉で姉が死んだわけではなくそれは春妃の寿命だが、そんな事を100万回言われても消せないんだよなあ。
 でも読んでいて消せないのなら強くなるしかないなと思った。後悔して思い出を封印したり、悲しんでばかりでは亡くなった人間が気の毒な気がする。
 強くなる事は亡くなった人間も解放させてあげる事なのかもしれない。
 
 夏姫が姉の春妃とBFの歩太の年齢差と同じように八才年下の慎一を好きになった時に、初めて人を好きになるどうしようもない気持ちを理解し心の檻から解放されるという下りは心が絞られる。
 ようやく心から春妃と歩太の裏切りを許し、心の奥底で2人を責めていた自分も許せた気持ちが切なかった。
 人が人を好きになる気持ちはいかなる形でも責められない類のものかもしれない、多分。

 とにかく「切ない」。どこを切っても金太郎飴のように切ないのだ。
 
 10年の歳月を経ても傷は癒されるものでもないのだろう。傷はやっぱり傷として抱えていく。
 でも傷を抱えても、それをもっと優しい暖かい違う場所へと変える事は出来るんだなと思う。
 時間に癒されるというより、傷の存在が違う場所へと転化する。傷を仕舞う場所が変化していくのではないかと思う。

 愛する者が亡くなってもそれでも生きている人間の時間は止まらない。今を生き続けなければいけない。
 その悲しさと愛おしさが一杯この作品には詰まっていた。
 どんな悲しみを抱えていても生き続けていれば、いつかは涙がこぼれる位の優しさと愛おしさに満ちた世界へと辿り付ける事が出来るのだなと思った。

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| 村山由佳 | COM(6) | TB(0) |
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