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2010-04-24 (Sat)
 

 13年ぶりに千沙は帰郷する。18歳の時に大学進学で故郷を出てから初めての帰郷であった。
 彼女は横暴な父親、身勝手な兄、そして何よりもただただそんな家族に従う母親を嫌っていた。
 千沙は自分が外見も性格も母親に良く似ている事を自覚しており、母親のようになりたくない為に東京でガムシャラに頑張り望む生活を手に入れていた。
 嫌な思い出しかない故郷にもう二度と戻らないつもりだったが母親が倒れたと聞き決心が鈍る。
 病院では母親はベットで静かに眠っており傍らには父親が見守っていた。
 時は流れ家族の絆の形も変化していたと気づかされる。。。。 


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 唯川さんの作品を久しぶりに読んだ。たまに風に吹かれて彼女の作品を読みたくなる時がある。
 読み返して改めて思ったのはやはり短編の方が上手い作家さんだという事だ。
 唯川さんの作品は長編だとなんとなく間延びした感じを受ける。もう少し寸法を短く出来るんじゃないかと思う事が割りとあった。
 それが短編だと上手いこと寸法にまるっと収まって良い感じになる。

 この短編集の中ではラストの「帰郷」が一番印象に残った。
 まず構成の上手さがある。
 この作品以外の短編はオチが割りと苦いというか毒があった。だけどこの作品のラストは唯一光を感じさせるというかホッと出来た。その対比がお見事。
 初出部分を見たら雑誌に発表された年月日もバラバラのようで、まあよく上手い具合に風合いの似た作品をビックアップしそれらが効く形になる作品をラストにしたなと思った。こういう部分に職人技を見てニヤリとしてまう。

 人間関係で一番難しいのは自分との付き合いだなと思った。他人よりずっと難しい。 
 千沙の自分と折り合いのつけられない部分が昔の自分を思い出させてくれた。
 彼女は整形をし美貌も手に入れて今は華やかに自由で自分の思うがままに生きていた。だが何故かどんどん幸せから遠ざかる自分に気づいてもいた。
 そんな幸福から取り残された感のある千沙が途方にくれている姿が切なかった。
 千沙の幸せになろうとして幸せになれると思って信じて進んだ方向にそれが見つからず、捨てたはずの故郷で不幸だとばかり思っていた母親が得ていたかもしれないというドラマはなんか人生の機微を感じさせてくれてた。

 皆、幸せになれる、幸せになろうとして頑張っていてもその方向に幸福がない時がある。 
 幸せの方向どっちに向いているのかは神様の方位磁石でもない限りよくわからないだろう。
 でも自分を本当の意味で大事にする事、自分を好きになる事が出来れば間違った方向には行きにくいと思う。

 何かを好きになるというのは何も他人や物に対してだけで出なく自分にも向けてあげたいと思う今日この頃。
 
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| 唯川恵 | COM(4) | TB(0) |
2009-10-14 (Wed)
 

 時はバブル絶頂期、文彦と永遠子も「結婚式」を挙げ幸せの絶頂にいた。
 文彦は広告代理店に勤務するやり手の社員。美貌の永遠子は希望の祝福されての寿退社をし専業主婦になるつもりであった。
 新居となる中古マンションも購入して、芸能人が式を挙げた有名な教会での挙式。
 時間と手間をかけて何もかも吟味し尽し最高の日になるはずであった。

 そのはずであったが、結婚式当日に思わぬことが起こる。文彦が捨てた女性が永遠子の前で手首を切ってしまう。
 なんとか無事に式を終え新婚旅行へ行くが結局その事がしこりとなり、険悪なムードのまま二人は成田離婚を考える。
 だが戻る場所は失われてしまい二人はそのまま暮らしていくが。。。

 二人の男女の10年の結婚生活を、時代の流れと出来事とを鏡にして書かれた物語 


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 唯川恵さんの本は60cm×90cmの四段仕様の本棚の一列分は埋まる位は読んでいる。
 が、私ははそのほとんどの内容を憶えていない。
 「それはアンタの脳みその問題だろう」 
 と言われたらそうかもしれないが、でも同じ少女小説家出身の山本文緒さんの作品もたくさん読んでいるけどちゃんと内容を憶えているのである。

 唯川先生ごめんなさい。
 先んず謝ってしまうが、唯川さんの作品は私にとっては残らないものが多いのである。
 間違いなく面白いのだけど作品が重力を持たないというか、消費だけで終わってしまうものが多かった。
 唯一印象深く残っているのがこの「ベター・ハーフ」である。

 おとぎ話であれば王子様とお姫様が結婚してめでたし、めでたしで終わるが、これはその続きの物語という感じである。
 王子様とお姫様もいつまでも夢の中にいられない。夢から醒めたら現実が待っている。

 文彦も永遠子もたくさん恋もし、たくさん遊んで独身生活を謳歌する。
 そしてお互いこの相手ならと思い結婚したが文中の言葉にあるように「結婚生活で出会うさまざまな厄介、煩雑、責任というボールが容赦なく飛んでくる」為にそれに振り回され相手を見失う事がある。
 当たり前だけど結婚前に思い描いた通りに事は進まない。思わぬ相手の性格や出来事に遭遇しては、
 「こんなはずではなかった」
 と呟いてしまうことになる。

 そういった結婚生活の「本性」が赤裸々に綴られているのが面白い。
 コーヒーなら砂糖もミルクも抜きのブラックという味わいである。
 この作品はバブル絶頂期からその後の崩壊、世紀末と時代の出来事を二人の結婚生活に色濃く反映していて、その味わいに更に「こく」を深めている。
 
 二人はよく喧嘩もし何度か離婚についても語るが結局は離婚せず共に暮らし続ける。
 「あんたら、よう別れんわ~」と読んでいておばちゃん気分で突っ込みを入れたくなる。
 でもそれを解説者の言葉にあるように唯川さんは「夫婦の絆」や「人情」という括りだけで片付けるのではなく、タイミングの問題であったり、利己的な理由であったりと多分実際の家庭でもお邪魔してそうな実情で書かれている部分にリアリティを感じた。

 最初は精神的には大人になりきれていない自己中心の二人が、飛んできた様々なボール打ちを返していくうちに少しずつ成長し、伴侶や自分以外の他人への思いやりを育む「大人の成長物語」でもあるのがこの作品を面白いだけではなく深くしている。

 結婚生活というのは終わりのない物語だよなあ~と締めてみる。

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| 唯川恵 | COM(11) | TB(0) |
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