123456789101112131415161718192021222324252627282930
-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告 |
2009-07-11 (Sat)
   

 ミステリー作家持井涼司は「凍て鶴」で有名な文学賞を受賞する。
 その作品が映画化される事になり、一番熱心だった奇才と言われる小野川に会う。彼は元々脚本家だが主演も監督も務めるとなみなみならぬ意欲をみせていた。
 だが待居は打ち合わせで彼に会う度に、小野川の独善的な思い込みの激しい性格にイラついてくるようになる。
 その最たるものが、自殺志願者が集うサイト「落下の会」の主催者である木ノ瀬蓮美の自殺に、作品「凍て鶴」が影響を受けているはずだと執拗に自分の考えを押し付けてくる。
 小野川は「落下の会」の死生観を映画の下敷きにする為にこのサイトについて調べ始める。それに無理やり待居はつき合わせられる羽目に陥るが。。。。。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 *多いにネタバレ有り 

 雫井さんは多作な方ではないがコンスタンスになかなか質の高い作品を生み出している。
 作家さんの中には出来、不出来の激しい方もいて読む時に「大丈夫かな。。。」と心配しつつページをめくってしまう作家さんもいるけど、雫井さんは安心して作品世界の入り口をくぐる事が出来る。

 今回の作品も私的には期待を裏切られなかったと思う。それは自分が「創作」という行為が好きだからだと思う。
 この作品は「創り手の業」の凄さを感じさせる作品である。

 正直言うと、小野川が受賞作品を自殺系サイトの「落下の会」の事件と結びつける所は強引さと、そして彼のキャラのひとりよがりな造形はやや閉口を感じたが頑張って読み進めた(ラストを読んでそういう設定にしないと作品が成立しないのと、あのキャラが故にラストで活きるとわかるのだけど)。

 読んでいくうちにこの投げられたボールはどこに進んでいくのか興味津々だった。どこに行くのか全く読めない。

 ラストの着地点に「こう来たか!!!」と唸った。ラストのラストでタイトルである「犯罪小説家」の意味を納得する。
 そうまでして、そこまでして創りたいのかと思う部分もあるし、でも自分も物を創作する事に携わっていると共感出来る部分もある。
 
  個人的に創造的な創作に携る人はそれでしか埋める事の出来ない「何か」を抱えていると思う。だからこそ創作を続けていくのだと思う。
 そうでなければ「無」から「有」を生み出す孤独な世界に生きられないと思う。何故ならその世界は誰かが助けてくれる世界ではないから。
 
 ラストで主人公はこう呟く。
 「書くことがある限り、彼に絶望はありませんから。。。。」 
 自分の外側にどんな事が起きても、それら全てを書くことで昇華できるのなら確かにそりゃあ何も恐れるものはないだろう。自分の内側の世界が崩れるのは「書けなくなる」ことのみだから。
 それはとても羨ましいなあと思う。自分の中に「絶対の基盤」があると無いでは人生の苦楽の度合いが違う。  自分も創造するのは好きだけどさすがにここまで突き抜けられない。

 ラストはある種の破滅を予兆する終わり方だけど、主人公にしてみれば絶望に値する事ではないんだろうなと思った。

 変わらずのご声援をお願い致します。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

スポンサーサイト
| 雫井脩介 | COM(2) | TB(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。