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2010-04-10 (Sat)
 

 池袋の有名なトラブルシューティングと言われる真島誠。
 きっぷの良い母親が営んでいる果物屋の店番をしているマコトに色んなトラブルが舞い込んでくる。彼は普通の今時の若者であるが、物事の本質を直感的に見抜きトラブルを適切な形で片付ける能力に長けていた。
 今回の依頼人はイケメンの中国人リン。彼は中国から働きに来る研修生のお目付け役であった。
 中国から日本へ研修生という名目で就労派遣された250名の内1人の女性が脱走する。一週間以内に見つけ出さなければ全員が強制退去の上向こう三年は派遣を禁じられるという重いペナルティがあった。
 マコトは中国の重い現実に驚きつつも依頼を引き受けるが。。。

 他三篇


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「池袋ウエストゲートパーク」はずっと読み続けているシリーズである。
 この作品を読むキッカケとなったのが長瀬智也さん主演のテレビドラマ「IWGP」が面白くて原作本に興味を持ったからである。
 「今時の若者」というお品書きがどういうものなのか接する機会がないのでよくわからないけど、彼等はこんな体温なのかなと納得させられるような小気味の良い面白さがある。
 クールでありながら飛んでいるようでありながら不可思議でありながら、根っこの部分は今も昔も若者というのは変わらないのかなとも思う。
 そういう部分を上手く現代風に巧みに仕上げているシリーズである。

 たが、読み続けていくうちにこのシリーズが少々「スィーツ」的になっていくのが微妙にうんざりしつつある。
 石田衣良さんは合う合わない作品があるものの基本的に好きな作家さんである。
 ただ最近なんというのだろう。。。彼の作品は甘くなっているというか甘ったるいというか、このシリーズも砂糖の量が徐々に増えているような感じがした。
 私はどちらというと辛党派なので甘いと胸焼けを起こしそうである。
 でもこの短編だけはその「スィーツ」さが上手く作品に組み込まれていた。

 中国と言えば現在は勢いのあるお国だけど実情はやはり地域的な格差がかなりあるんだなと知った。
 今もてはやされているようなバブル好景気の恩恵にあずかれるのは都市部だけであり農村は厳しい実情のようである。
 だからと言って自由に好きな場所へ行って好きな仕事に就けるわけではなく、農村部に生まれればまず都市部へ住む事は不可能らしい。同じ国内であっても貧富の差は激しく貧しい農村に住む人々は稼ぐ事の出来る黄金の国日本へ働きにやってくるのだ。

 結構このシリーズは自分では知識で軽く知っていた程度の詳しい知識が書いている場合が多く「知ってるつもり?!」的な部分が有りためになる。

 すったもんだの挙句「スィーツ」な結びだけどこれが美味な甘さだったのが嬉しい。いつもなら「ケッ!!!」と本を閉じて悪態を突きそうだけどこの度はスンナリ納得出来た。
 現実はこんな風に上手くは運ばないだろうけど、それでも物語というフィールドならこういうおとぎ話的なラストでもいいじゃないかと思わせてくれた。
 多分今回の「スィーツ」が物語の風景として良い図柄に仕上がっているからだと思う。

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| 石田衣良 | COM(4) | TB(0) |
2009-09-23 (Wed)
 

 「LAST」をテーマにした7つの作品集。

 「ラストホーム」
 渋井聡の転落の始まりは何度目かになる職を辞めたことであった。
 すぐに仕事がみつかると高をくくっていたが、不景気と40歳になった何の特技も職歴も持たない聡は仕事にありつけなかった。
 貯金もなく家賃を払えない彼はあれよあれよというまにホームレス暮らしとなる。
 フリというあだ名をつけられ、雑誌拾いの仕事をしながら、お山の仲間と共に生きる日々はそれまでにない価値観を聡は見つけていく。。。。。
 だがやはりお山にも「厳しい現実」があった。


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 石田さんの作品は私にとってはくじ引きにも似た感覚を味わえる。
 当たるか外れるかという作品が多いので、当たりを引いた時は「ラッキー」と小粒に喜ぶ。
 この作品集はまあまあ当たりの部類であった。
 
 この「ラストホーム」はこの作品集の中でも地味な作品である。正直この作品よりも面白いものがあるし、考えさせられる作品もある。
 でも私は一番この作品が好きである。
 主人公は一般のものさしで言えばホームレスとなった事により転落するのだが、彼は転落したはずの生活にそれまでの生活で得た事のない安らぎを得る。

 世の中となかなか仲良く出来なかった主人公はいつもひとりだった。
 それが共に暮らす仲間を見つけ、初めて自分の居場所を持てたことを彼は純粋に喜び現状に満足しているのである。
 その「喜び」がほのかにじんわり伝わって来てくる。
 「幸せって何だっけ?~何だっけ?~♪」
 と読んでいて懐かしいフレーズを思い出した。

 ただホームレスとなった彼等は様々な事情で家族を社会生活を捨てている。
 それでいながらその生活を楽しんでいるというのはどこかボタンの掛け違いのような間違いもを感じる。
 でも、
 「間違っていても幸せならそれでいいじゃん」
 と言われたら、
 「おっしゃるとおり」  
 と退散するしかない。
 どんな形であるにせよ、それが自分なりの幸せの形ならそれでいいんだろうとは思う。
 
  
 この「LAST」をテーマにした作品を読んでいてふと「自分のLASTは何だろう」と思った。
 私にとっては『LAST DAY』になる。

 心の病の苦悩から解放されて心が自由になる日の「LAST DAY」。
 苦しさに負けていつかあの空の向こうへ逝きたくなるかもしれない日の「LAST DAY」。

 私の人生の双六のマスはどちらの「LAST DAY」になるか、サイコロは慎重に転がしたい気分である。

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| 石田衣良 | COM(7) | TB(0) |
2009-04-11 (Sat)
   
 大学生の江崎澄雄はあらゆる幸福とみなされるものを与えられていたが、彼の心は乾いていた。それは9年前に自殺した母親の死体を発見したのが澄雄であった事も起因していた。
 退屈しのぎに携帯の出会い系サイトにアクセスし、そこでジュリアという亡き母親に良く似た少女と知り合う。
 まるでお互いが欠けていたピースのような二人はたちまち恋に落ちる。だが2人の恋は前途多難であった。
 何故なら澄雄とジュリアではあまりにも生活環境に天と地ほどの差があった。。。。。


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 本の冒頭に結末が掲載されているけど、この作品は若い男女の心中までの物語である。

 私が10代か遅くともお肌の曲がり角の25歳頃までに読んだら、この2人に寄り添う感想が持てたと思う。
 が、30代も半ば過ぎて読むと、
 「おばさん、つっこんでもいいかなあ~」
 とナナメの感想を持ってしまった。
 ひょっとしたら、
 「年のせいというより性格の問題」 
 なのかもしれない(いずれにしても深く考えない方がいい気がする)。

 澄雄の父親は日本有数のお金持ちで彼自身天国に近い超高級マンションに住んでいる。望めばあらゆる幸福を手に入れられるが、彼自身はその与えられた役回りに馴染めないでいる。
 何者かになりたいと思いつつも、具体的にどうすれば良いのかわからない。

 そんな時に隙間風のように母親に良く似た少女と出会えば当然恋に落ちる。

 ただ、読んでいてやっぱり澄雄はおぼっちゃんなんだなあと思う。
 自分達の恋の行方に立ちはだかる困難に彼なりに一生懸命取り組んでいるのだろうけど、そりゃあラストに心中するのだから澄雄が現実処理能力バリバリでは物語は上手く進まないのだろうけど、なんとなく彼の言動に歯がゆさを感じる。
 「しっかり、しっかり、頑張って」 と背中を叩きたくなる。
 結局澄雄は自分の知っている世界の物差しでしか計れない。
 
 一方ジュリアは万年厄年じゃないかという位についていない。
 母親は病死し父親はろくでなしの為家は貧乏。アルバイトでやっと貯めた学業資金も父親にかっぱられる。
 典型的な不幸な美少女というジュリアだが、個人的にジュリアというキャラは好きにはなれなかった。
 キュートで不幸に一生懸命耐える姿はけなげだと思うのだけど、
 「身を引けば全てまるく収まるのだから、身を引いて女の株を上げればいいのに」
 と冷めた感じで読んでいた。
 これは自分が女性だから男性の方に肩入れしてしまうからなのかなあ。

 つっこみまくって読んだ作品だけど、懐かしい空気を思い起こさせてくれた。自分が自分だけのスポットライトを浴びていた若い頃を思い出した。
 勿論こんなにドラマチックではないが、自分の世界に浸りきっていた青い自分を少し思い出した。
 2人はそのスポットライトを浴びたまま死を選んだ。

 スポットライトの眩しさはもう記憶の彼方である。。。。。

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| 石田衣良 | COM(4) | TB(0) |
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