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2010-09-15 (Wed)


 刑事の小暮は妻を亡くしてから男手一つで1人娘の菜摘を育てていた。忙し過ぎる為に娘との時間を持てない現状を変えるために、転属願いをするかどうかが今の目下の悩みであった。
 ある時足首が切断された少女の遺体が発見される。小暮はその事件を担当する事になるが名島というエリートの女刑事とコンビを組まされる。彼女も夫を亡くして息子を女手で育ていた。自分より一回り違う若い女性とのコンビに戸惑っていたが、名島刑事は中々に着眼点も鋭く有能であった。
 連続殺人事件となるが手かがリが少なく捜査は難航する。小暮は捜査中に一連の殺人事件がある都市伝説を模倣している事に気づく。
 その都市伝説はあくまでも香水の新ブランドを売り出す為の口コミを利用する為の噂に過ぎなかったのだが。

 
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  色んな作風に果敢にチャレンジされている萩原センセの初!!!ミステリーらしいけど、やはり実力のある方だと再認識させられる質の高さである。
 良い意味で「ミステリーの見本」だなあと感じで、本当に基本はオーソドックスなミステリーである。だから読み慣れている方なら犯人が途中である程度予測がつくのではないだろうか?
 勿論だからと言って面白さが削がれるわけではない。

 ミステリーとして安心して読める手堅さだけではなく、元広告会社にお勤めだったようで口コミの効果の凄さの話等付属する+αに魅力がある。
 それとやはり萩原さんの持ち味で魅力と言えるキャラクター造形の上手さがある。萩原さんのキャラクターは作品内でちゃん彼等が生きているなあという存在感がある。
 特にメインキャラとなる小暮刑事と名島刑事がいい味出しているのである。カラーの違う2人の派手さは無いが地味ながら「イイ感じ」のコンビネーション振りで面白い。
 読み終えて萩原さんはやっぱり上手いなあと思った。

 で、
 解説を読むまでは上記に書いた通りの感想を抱いていた。
 どうやらこの作品「隠しだま」があったようである。解説者の方は詳細は省かれていたので私にはそれがどういうものか全然わからなかったし検討もつかなかった。
 「何?私、のけもん?」
 と、あせりつつ他力本願の元であるネットで検索をした。

 探りを入れた結果、ラストの一行がどうやら肝だとわかった。
 単行本も文庫本も帯に「衝撃のラスト一行に瞠目!!!」という煽り文句(売り文句)があったようであるが、私は図書館で借りているので帯の言葉は知らなかった。
 再度ラスト一行を読んだ時、
 「エッ!!!!!!w( ̄△ ̄;)」
 とびっくりした。
 もう一遍読んで、
 「マジッ!!!!!!(⌒▽⌒;) 」 
 と思った(驚き度を表現する為にめったに使わない顔文字を使わせて頂きました)。
 これはオチの意外性におったまげた。普通に読み終えたのにたった一行のストレートパンチでいきなりブラックな世界に突き落とされた感じである。
 ラスト手前が本当にほのぼのというかまったりというか、ネタばれになるので詳細は省くが「縁側でお茶飲んでいる雰囲気」(あくまでも例えです)だったので余計にパンチが効いた
 でもミステリーとしてのカタルシスではない。練られた構成か狙った構成かの判断は迷う所だけど、突っ込みたくなるギリギリラインで留まっている感のある意外性が効いてるのだと思う。
 それとラストたった一行、数文字での種明かしの上手さによる勝利だと思う。

 萩原さんの読者へのサービス精神に乾杯(完敗)だ。
  

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| 萩原浩 | COM(4) | TB(0) |
2009-04-08 (Wed)


佐倉涼平の自覚している欠点は脳みそと口の距離が近く、おまけに手も近い事。
 大手代理店もその欠点の為に辞める事になったがなんとか食品会社に運よく就職出来た。
 が、結局上手く立ち回れず早々とリストラ要員の強制収容所と言われる「お客様相談室」へ流される。
 恋人にも出て行かれ面白くない涼平であったが、蓄えを持たない彼にとって今辞める事はおまんまの食上げであった。
 強力な面子の中で仕事のいろはを教えられ少しずつコツをつかんでいき、それなりに強制収容所での生活を過ごして行くうちに、本当の意味での「仕事をする」というのを身につけていく。。。
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 ジャケットに一目惚れして買う事を「ジャケ買い」というのなら、今回はさしずめ「題借り」になるだろう。
 「神様からひと事」という題に惹かれて図書館で借りたのだが、こういう題に惹かれるあたり自分は今少し疲れているのかなと思う。

 題のイメージから自分にどんな感銘を与える作品かなあと読み始めたのだけど、
 「ちょっと、違うかな」
 更に読み進めて、
 「多分、違うかな」 
 もう少し読み進めて、
 「やっぱり、自分が思っていたのとは違う」 
 と気づいた。

 それなら読むのを辞めるべきなのかもしれないけど、一度読んだ本か若しくはどうにもこうにも自分に合わない本でない限りは最後まで読む事にしている。
 なんか途中で読むのを辞めたら、それまで読んできた時間が無駄なような気がするからである。
 違うかなと思って読む方がよっぽど無駄ではないかと思われるが、自分基準ではとにかく最後まで読み通してダメなら「ダメだった」という結果を残したいのである。

 でもさすがに萩原さんの作品だけあって当初思っていたのとは違うけど楽しめた。
 「神様からひと事」のタネ明かしは、ようは「お客様は神様である」の神様なのである。

 私は「お客様相談室」ではなかったけどコールセンターに勤務していた事があるのだが、そういう仕事も含まれていたので読み進めるうちに内容にかなり親近感が沸いた。
 顔が見えないと強気になる人は結構いるのである。対面で話しをしたら多分こうは言わないだろうなと感じていた。
 この本に出てくる電話をしてくる困ったちゃんのお客様はまだおとなしめで、現実はもっともっと凄いお客様がいた。 まさしく事実は小説より奇なりである。

 涼平はコツを掴むのも早く根性はあるので有能なのだけど、物凄く良く言えば「やんちゃ」なのである。その為に長いものに巻かれる事が出来ずはみ出してしまう。
 その涼平がはみ出し者の集まりである「お客様相談室」でやっとはみ出さなくて済むというのがなんとも面白い。マイナスとマイナスを掛けてプラスになった感じかなあ。

 そこでもまれながら仕事をしているうちに、彼がそれまでのどこか「かっこつけ」で仕事をしていたのが、足に地がついたというか血肉になるような仕事の仕方になるのが印象的である。
 まっ、結局「やんちゃ」な所は変わらずそこがラスト辺りで爆発である。
 サラリーマンなら一度はこうしてみたいだろうなという思いを代弁している。

 萩原さんの作品はこれで三作目であるが、未だにこの方の作風がつかめない。
 「ぼくたちの戦争」→「明日の記憶」→で、今回の「神様から一言」の順に読んできたが、読んだ順番が良くなかったのか。。。。。

 それとも正しい萩原作品の読み方というのがあるのだろうか?

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| 萩原浩 | COM(2) | TB(0) |
2009-03-14 (Sat)
  

 佐伯は50代になったばかりで広告代理店の営業部長として多忙な日々を送っていた。
 だが少しずつその日常の中で齟齬が生じるようになっていく。クライアントとの約束の日時を頻繁に間違えたり忘れる事が多くなり、日常の中で少しずつ記憶が零れ落ちていく。
 そして病院で診てもらった所「若年性アルツハイマー」と診断される。。。

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 最近物忘れが多い。。。。。。 特に短期の記憶力が今イチなのである。
 テレビでお年を召した方が眼鏡をあちこち探していて、実は眼鏡を上にずらしていたという落ちがあるシーンに「やんわりと微笑ましく笑う」事があるが、まさか自分がこんなにも早くに「やんわりと微笑ましく笑う」側から「やんわりと微笑ましく笑われる」側になるとは思っていなかった(やっちゃいました。。。)。

 自分は「若年性アルツハイマー」なのだろうかと思い、ネットで色々と検索していてこの作品を知ることになった。

 ネットで調べたどんな知識よりもこの作品が私に「若年性アルツハイマー」というものを教えてくれた。
 この病気は今まであたりまえに憶えていた事、自分の事、愛する者の事、それら全てを除々に忘れていく。
 そして「生きる」という本能すらも忘れて死へと向かう病気だと知り衝撃を受けた。

 「生きる」というのは人間の基本的な本能だと思う。
 例えどんなに死にたい人でも、道で転べば自分を守る為に地面に手をつくし、物が飛んでくれば無意識的によける。 生きる本能というのはそういうものだ。
 自分が今まで培ってきた「記憶(思い出)」だけでなく、生きるという本能すら忘れてしまうなんて本当に悲しい病気だと思った。

 とにかく著者の萩原さんの作家としての想像力というか創造力というべきか、それには感嘆させられる。
 ご本人が若年性アルツハイマーに患っていらっしゃったのではないかと思う位(当然ありえないけど)、この病を患う事になった患者の苦悩、恐怖、悲しさがくっきりと浮かび上がっている。
 「ぼくたちの戦争」を書いた人と同一人物だと気付きその柔軟性に驚いた。

 是非一度読んで欲しい。

 *ちなみに私の物忘れは単に年を取ったせいみたい。。。。

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| 萩原浩 | COM(2) | TB(1) |
2009-03-08 (Sun)
 

 「根拠なしのポジティブ」が売りの健太はいつか何者かになれる事を夢見て、愛するミナミと大好きなサーフィンがある「今」を楽しんでいた。

 吾一は国の為に死ねる事を何よりも誇る軍国少年であった。

 現代を生きる健太と昭和19年代を生きる吾一があるきっかけで入れ替わってしまう。
 2人の道筋はいかに。。。。


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 これはよくお邪魔するブログで紹介されていた本で面白そうなので読んでみた。
 タイムスリップとか入れ替わりとかは失礼な言い方だけど使い古された小道具という感じで、それでも萩原さんの文章や会話の面白さを楽しんで読み進めていた。

 それぞれ入れ替わった2人が今まで存在していなった時代で右往左往しながら、それなりになんとか生きていく姿がコミカルにテンポよく書かれていて上手いと思った。
 がっ、がっがっ、
 ラストあたりから想像していたものとは違う流れに
 「おやおやおや」
 とテンションが上がってきた。

 とくに戦争時代にタイムスリップした健太のラスト付近の話は、全く戦争未体験世代の私の胸を打つ仕上がりだった。
 「こうくるかあ」 
 という想像していなったボールが飛んできた気分だ。
 当たり前だけど昔の人もひどい時代であっても、その中で一生懸命生きていたんだなあと改めて認識した。
 
 思っていたより話しの収束がキマッテおりじ~んと来た。読者に委ねる終わり方もなかなかのもだと思った。

 この作品が萩原浩デビューになるけど幸福な初対面だと思う。

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| 萩原浩 | COM(0) | TB(0) |
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