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2010-12-15 (Wed)
 

サイコメトラー桐生紫を主人公とした短編4話。

 「鋏の記憶」
 身寄りのない高校生の紫は亡き父親の従兄で15歳年上の刑事である進介と同居している。実は彼女にはサイコメトラーでその能力で時折進介の捜査を手助けしていた。
 ある日知り合いの家にあった鋏に触れた瞬間に衝撃を受ける。どうやらこの鋏は血を流した事があり、小さな男の子の苦痛と恐怖が伝わってきた。
 その鋏は知り合いがゴミ捨て場で拾ってきたもので、持ち主を捜した所杉原さとえという女性であった。だが彼女は既に亡くなってるが息子は生存しており名前は正樹、成人して2人の子持ちであった。
 調べた結果鋏の一件は小さな子供が刺されたのではなく、正樹が幼い頃に誤って母親であるさとえを刺したのが真相という事であった。
 だが紫は確かに鋏から小さな男の子の苦痛の感情を読み取っており、そして流された血の多さから恐らく生きていないだろうと推測していた。
 進介に相談し彼が調べた所意外な真相が浮かびあがってくる。 


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 今邑彩さんは短編上手い方である。幾つか読んだけど割りと高水準の作品を書かれる(特にホラー関係)。
 この短編集はサイコメトラーの高校生である紫と刑事の進介のコンビがいい道具仕立てとなっている。
 一種の超能力物語だけど異次元タイプではなくあくまでも日常という地盤の上でコマが動くタイプのお話。
 まあ紫がその能力で種を撒き刑事である進介がそれを刈るという感じでその設定の面白さと、15歳離れている2人の微妙な関係というのがそそられる。
 お互いに自覚していないけどほのかな好意を相手に抱いているんだろうなあというのが読み取れる。
 ただ物語の設定的にもキャラ的にも面白いのにシリーズ化されておらずこの作品限りというのは残念である。 

 短編の中でも「鋏の記憶」は傑作である。この作品だけはずっと私の心に残り続けた。物語に奥行きがあるというのか深さがある。
 実は真相自体は「現実ではありえないだろう」という内容である。絶対ではないけど、多分ありえない。
 でも「突っ込み隊」隊員であるこの私がまるで突っ込まなかったというか突っ込めなかったというか、この作品世界を成り立たせる為にありだという認識で受け止めていた。真相というピースがピチッと作品世界にハマッていた。

 詳細を書くとネタバレになるのでこらえるのだけど「親の愛情」というものについて考えさせられた。『彼ら』のやった事は紛れも無く犯罪だし許されるものではないけれど、だけど愛する事の圧倒的な凄さを感じ入った。
 「親の愛」というものは深いものはどこか狂気に通じてしまうのだろうか。この事件に関わる事になった人物達は犯人も含めて皆悲しい、どこにも悪意はないのに。ただ深い愛情が故の悲劇というのがどうしようもない程に胸に来た。来まくった。

 ラスト辺りは泣けてくる。『もう一方の彼ら』もまた「子供への深い愛情」を持ちその描写がジーンと来る。こういう愛情は親しかないだろうなと思う。他の愛情関係ではつらい状況の中で愛情をここまで持ちこたえる事は出来ない。
 希望を感じさせるシーンで終わっており救いを感じた。

 これはお勧めっす!!!

 

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