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2010-12-04 (Sat)
 

  児童養護施設「七海学園」。この学園には「学園七不思議」と言われる噂があり、今施設でも起こる不思議な出来事にも波及をもたらしていた。
 「非常階段の行き止まりから消えた少女」「暗闇のトンネルから聞こえるいるはずのない人間の声」等、七海学園で働く春菜は子供達に起こった不思議な出来事や謎を相談するのは児童福祉司である海王さんであった。
 どんな子供達も「いい子ですね」と評する海王さんはしかしとても子供達をよく見た上でそう評する人であった。
 彼は春菜の思いもつかない真実を読み取って謎を解き明かしてくれるのだった。


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この作品は第18回鮎川哲也賞受賞作である。
まだ新人さんという点を考慮して甘口採点するとミステリーとしては中の中位かなあ~と思う。短編連作で数珠繋ぎになったそれらが最後に別の図柄を見せるという仕掛けである。
 正直個々の謎解き自体はちょっと強引な部分や現実的にはどうよ?という突っ込み所が多々あるのである。児童福祉法が結構謎解きに絡んでくるのだけど、私はそういう知識がちんぶんかんぷんなのでなんか種明かし部分にブラックボックス的な印象を受ける。
 ラストの仕掛けも私は自体はそれ程そそられなかったかなあ(太鼓判押す人もいるとは思うが)。カタルシスが足りない。
 だからミステリーとしてはそれ程この作品を評価していないのだ。

 でも通常だったら途中で読むのを辞めていただろうが、 結局最後まで突っ込みの合いの手を入れながらも読んでしまった。  それは魅力ある文体と物語の持つ世界観に惹かれたからだ。読ませる力があった。
 児童擁護施設というミステリーの舞台としてはかなりめずらしく、それが舞台装置として有りか無しと言われたら有りだとは応える。ただ不味くは無いけど何もわざわざこの食い合わせにしなくてもなあという感じでもある。
 でもそこに集う子供達のお話は「物語」として読ませてくれる。「ミステリー」という衣を拝借した「子供達の生きる物語」、そこに魅力を感じた。
 児童虐待に付き物の「闇」なような重さや暗さは描けていない(もしくは書かなかったのかも)。その辺りに批判の余地はあると思うが、私はこの作品に関してはそういう面に焦点を当てなくて正解と思っている。
 そのせいもあってかどこかファンタジックで、優しさというそういうものが根幹にあるような作品世界が私は好きだった。

 そして出てくる登場人物達がぐいっと物語を牽引してくれる。
 一連の物語の狂言回してきな役割となる施設で働く春菜。そして「安楽椅子探偵」的な役回りの児童福祉司海王さん。感情移入し易いというよりその感情に副えるような気持ちを持つ。
 魅力あるというのとは違うかのかもしれないが読み手を吸引する力のあるキャラクター創りが上手いと思う。
 ミステリーを紡ぐ手腕というのは場数をこなせば上手くなるもんだと思う。勿論センスがあってこそ磨かれるものだと思うがは七河さんはその素質をお持ちだと思う。
 ただ「魅せる・読ませる力」というのはほとんど確変がない限り先天的というか努力云々でではないと思う私は。だから最初からそういうものを持っているその辺りが凄く楽しみな作家さんである。


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