メンへラの読書日和
心の病を抱えつつ、でこぼこ人生を踏みしめながら読んできた数々の本の読書記
| Home |
2009-06-13 (Sat)
「SEVEN ROOMS」
「ぼく」と姉は目が覚めると、コンクリートで出来た灰色の壁の窓もない小さな四角形の部屋に閉じ込められていた。
最初は誰が何の目的で自分達を閉じ込めたのかさっぱりわからなかったが、色々探っている内にそこには七つの部屋があり、毎日一人ずつ順番に殺され、また人が補充されるという行為が繰り返されている事を知る。
やがて「ぼく」と姉にも期限の七日目がやってくる。。。。。。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*若干ネタばれあり
これは短編集だけど黒乙さんも、白乙さんも混じっていて、しかもどの作品も粒揃いなので「乙一」入門書にはちょうどいいと思う。
白乙さんとはせつない系の作品の事で、黒乙さんはホラー系の作品の事である。
ちなみにこの「SEVEN ROOMS」は
「激黒乙様」
である。
真っ黒、黒。
それでも、いやそれだからこそこの作品が私には一番印象深かった。
この作品世界においては毎日順番に無意味に残酷に殺されていくというのが絶対ルールとなっている。
ただそれまでとは違うのは閉じ込められて殺されるのは若い女性であったが、少年の「ぼく」と高校生の姉という犯人がそれまで決められたルールから外れた行為をする事により、そこにほころびが出来る。
乙さんの魅力は色々とあると思うけど、私にとっては「ちょうど良い残酷さ加減」が魅力の一つである。
あまりにも残酷過ぎると気分が良くないしそもそも読む気がしない。
でも黒乙さんの作品は例えて言うのなら、
「残酷なシーンで思わず手で顔を覆いつつも、その指の隙間から覗いてみたくなる残酷さ」
とでもいうのだろうか。
人は美しくてキレイなものだけではなく、どこか陰や怖さにも惹かれる部分は確かにあると思う(だからホラーという分野があるのだし)。
乙さんの残酷さは「受け入れる」と「拒否したくなる」境目のちょうど良いラインをなぞっている気がする。その辺りがシビレる。
それと乙さんの書く残酷さにはどこか「物哀しさ」というか「哀切」というのか、「悲しさ」ではない「哀しさ」を感じる。
その正体はなんなのか?
答えを見出したくて読み続けているのかもしれない。
それまで閉じ込められ何も出来ずに殺されていった女性達の無念を晴らすかのような、「ぼく」と姉の犯人を出し抜くラストは天晴れである。
ランキング落ちているので、ぽちっと押してやって下さい。
にほんブログ村
Re: タイトルなし
> 金魚さん、こんばんは!!!
> おお!!!金魚さんも乙さんを召し上がっていましたか。。。私も「GOTH」も好きですね。乙さんの作品の中でも一番好きな作品かな。
> >>私、感覚が他人事なのですよね。
> これはなんとなく理解出来ます。自分もそういう部分があるので、だから自分も「GOTH」好きなんでしょうね。
> >>人間性を疑わないで下さいね(笑)。
> いやいや、同類がここに一匹いますよ。安心して下さい。
金魚さん、こんばんは!!!
おお!!!金魚さんも乙さんを召し上がっていましたか。。。「GOTH」も好きですね。乙さんの作品の中でも一番好きな作品かな。
>>私、感覚が他人事なのですよね。
これはなんとなく理解出来ます。自分もそういう部分があるので、だから自分も「GOTH」好きなんでしょうね。
>>人間性を疑わないで下さいね(笑)。
いやいや、同類がここにいますよ。安心して下さい。
おお!!!金魚さんも乙さんを召し上がっていましたか。。。「GOTH」も好きですね。乙さんの作品の中でも一番好きな作品かな。
>>私、感覚が他人事なのですよね。
これはなんとなく理解出来ます。自分もそういう部分があるので、だから自分も「GOTH」好きなんでしょうね。
>>人間性を疑わないで下さいね(笑)。
いやいや、同類がここにいますよ。安心して下さい。
私も乙一さん大好きですよ。
感覚が自分と似ている様な、
「GOTH」を読んだ時は、自分の事だと思いました。
私、感覚が他人事なのですよね。
もちろん「失はれる物語」などの白乙さんも大好きですよ。
人間性を疑わないで下さいね(笑)。
感覚が自分と似ている様な、
「GOTH」を読んだ時は、自分の事だと思いました。
私、感覚が他人事なのですよね。
もちろん「失はれる物語」などの白乙さんも大好きですよ。
人間性を疑わないで下さいね(笑)。
本読み人M様、コメントありがとうございます。
>>かなり残酷でグロテスクなお話であるのに、「拒否したく」なくならないのは、あくまで犯人を“理不尽な暴力の象徴”として描き、存在感を極力ぼかしているからでしょうか・・・?
なるほど。。。。そうかもしれません。犯人にリアルさがあってあの乙さんの文章力がタッグを組んだら本当に救いのない物語でしょうね。それも読んでみたい気もしなくはないのですが。。。。。
女性が家族に「ごめんなさい」という言葉を残すシーンが印象的でした。別に謝る必要があるわけではないだろうけど、今までの自分を省みてそういう言葉が出てきたんだろうなという部分に妙なリアルさを感じました。
>>かなり残酷でグロテスクなお話であるのに、「拒否したく」なくならないのは、あくまで犯人を“理不尽な暴力の象徴”として描き、存在感を極力ぼかしているからでしょうか・・・?
なるほど。。。。そうかもしれません。犯人にリアルさがあってあの乙さんの文章力がタッグを組んだら本当に救いのない物語でしょうね。それも読んでみたい気もしなくはないのですが。。。。。
女性が家族に「ごめんなさい」という言葉を残すシーンが印象的でした。別に謝る必要があるわけではないだろうけど、今までの自分を省みてそういう言葉が出てきたんだろうなという部分に妙なリアルさを感じました。
あぁ
これは黒い。黒いですよねぇ。
>「ちょうど良い残酷さ加減」
かなり残酷でグロテスクなお話であるのに、「拒否したく」なくならないのは、あくまで犯人を“理不尽な暴力の象徴”として描き、存在感を極力ぼかしているからでしょうか・・・?
これで心情やら動機やらが描かれ、男にはっきりとした人格が与えられていたら、それこそ救いようのない話になりそうな気がします。
逃れられない死を前に、生きていた証を託すかのように自分や家族について語る女性たちが哀しいですね…。彼女たちの話に耳を傾ける「ぼく」は、まるで告解を聞く神父のよう、と思いました。
おはようございます。
>>ZOO、ローマ字で読めばゾオォ、典型的なおやじギャグですが(^_^;)
いえいえ、思わず「おお!!」と思いました。
>>ラストでカタルシスはあるもののやはり気味悪さの方が残りますね。
確かに。。。。もろ手を挙げてのハッピーエンドではないですからね。だからこそ黒乙様なのでしょうね。
>>ロボットの話も心に残っています
「陽だまりの詩」というタイトルの作品だったと思います。私もこの作品好きです。正直どちらを紹介しようか悩んだのですが、インパクトという意味で 「SEVEN ROOMS」 にしました。
>>そして「残酷なシーンで思わず手で顔を覆いつつも、その指の隙間から覗いてみたくなる残酷さ」、おりえさんの表現の巧みさに拍手です。
褒めて頂いて嬉しいっす。
>>ZOO、ローマ字で読めばゾオォ、典型的なおやじギャグですが(^_^;)
いえいえ、思わず「おお!!」と思いました。
>>ラストでカタルシスはあるもののやはり気味悪さの方が残りますね。
確かに。。。。もろ手を挙げてのハッピーエンドではないですからね。だからこそ黒乙様なのでしょうね。
>>ロボットの話も心に残っています
「陽だまりの詩」というタイトルの作品だったと思います。私もこの作品好きです。正直どちらを紹介しようか悩んだのですが、インパクトという意味で 「SEVEN ROOMS」 にしました。
>>そして「残酷なシーンで思わず手で顔を覆いつつも、その指の隙間から覗いてみたくなる残酷さ」、おりえさんの表現の巧みさに拍手です。
褒めて頂いて嬉しいっす。
おはようございます
おはようございます。
ZOO、ローマ字で読めばゾオォ、典型的なおやじギャグですが(^_^;)
おもしかったというか怖かったというか、乙一さんのプロット、文章はやはり相当なものですね。
わたしもSEVEN ROOMSが一番印象に残ります。
ほんとに「激黒乙様」ですね。
そして「残酷なシーンで思わず手で顔を覆いつつも、その指の隙間から覗いてみたくなる残酷さ」、おりえさんの表現の巧みさに拍手です。
ラストでカタルシスはあるもののやはり気味悪さの方が残りますね。
わたしは白も黒も好きです。
ロボットの話も心に残っています。
そして白と黒が混じって奇妙で哀しい乙一ワールドが、また読んでみたくなりました。
| Home |